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代表のつぶやき

2017/03/15

「主体的・対話的で深い学び」はアクティブ・ラーニング ―秋田県の「探究型授業」に学ぶところは多い

昼間がだいぶ長く感じられるようになりました。卒業式が終わった学校では、先生方の気分も新年度モードに切り替わっていることと思います。今年度は次期学習指導要領が世間の大きな関心事になって、研修会やセミナーのテーマとしても、アクティブ・ラーニングなど積極的に取り上げられることの多い一年でした。

ご承知のように学習指導要領は、基本的にはほぼ10年に一度の改訂が行われています。改定前数年間は、指導要領の骨子部分を先取りした授業が行われ、それによる指導効果などが発表までの参考にされることが多いからです。

今回の改定案では、激しく移り変わる社会の動きに対応した学校教育がかなり激しく意識されたものでした。いわば人工知能(AI)の飛躍的な進歩は、これからの学校教育では無視出来ないと言うことでしょう。このような科学の発展にあわせて、AIには出来ないであろう課題発見や正解のない問題を議論して妥協点を見出す生きた人間智慧を見出す教育が要求されて来ていることを物語るものです。

アクティブ・ラーニングもここ数年大いに話題となりました。研修会やセミナーなどでもテーマとして盛んに取り上げられ、多くのケースを想定しながら研修をして来ました。しかしアクティブ・ラーニングの言葉は改定案には盛り込まれず、「主体的・対話的で深い学び」という、あまり歯切れの良くない表現になりましたが、内容的には同じ意味をもつと言われます。これに対し文科省は「学習指導要領は広い意味での法令にあたるので、定義がないカタカナ語は使えない。アクティブ・ラーニングは多義的な言葉で、概念が確立していないから」と説明しています。

しかし「アクティブ・ラーニング」で関係図書も数多く刊行されているし、先生方の間ではかなり一般的に使われるようにもなっていました。それだけに内容的には大きな変化はないと見られていて、先生方のこれまで研修して来た内容は無駄になることはなく、呼び方が変った程度の意識で、それは大いに役立つと言えるものです。

全国学力・学習調査(全国学力テスト)で、実施以来優秀な結果をもたらしている秋田県では、主体的・対話的な指導を「探究型授業」として取り入れてきましたが、それによる指導が好結果をもたらせているのではないかと見られます。全国学力テストで秋田県の児童・生徒の特長は、「白紙答案が少ない」と言われます。普段の対話的な学びの中で、しっかり考えるという習性が出来ているもとと思われます。

さて3月期e-pros主催の英語指導法フォーラムは、3月26日(日)、杉本 薫先生(都立両国高校附属両国中学校)と長 勝彦先生(語研参与、英検英語教育センター常任審議委員)のお二人による研修です。杉本先生は、ここ数年、大きく変化を見せる中学校の英語指導を見極め、その評価をどういう観点から行うか。「主体的・対話的な深い学び」が要求される授業の中での評価はどうか。単に評価の仕方を伝授するのではなく、何故そうなっているのかとともに、評価の結果を見た指導や授業の考え方など、いわゆる評価の根本に迫ってみたいと仰っています。

長先生の英語教育界における実績は、英語教師ならどなたもご存知の通りです。これまでの英語教育を特に授業の場から、いろいろと工夫を改善を加え、長先生メソッドを創り上げたものです。今、大きな改革期を迎え、これに対面し、勇躍実績をあげながら乗り越えて行く「英語教師としての心構え」えお、自らの体験や指導を示しながら聴講の先生方に伝授して行こうという試みです。杉本先生、長先生ともに、「主体的・対話的で深い学び」、いわゆるアクティブ・ラーニングの授業における極めて大切なポイントと思います。どうぞご期待ください。

なお4月期フォーラムは、4月30日(日)の開催です。講師は東邦大学付属中高校の市田州英先生による「教科書を活かして英語の4技能」と、お待ちかね北原延晃先生の登場です。「北原メソッドによるアクティブ・ラーニング」の二本立てです。素晴らしい取り合わせと研修内容です。

2016/04/04

平成27年度を締めくくる英語指導法研修会開催!

3月27日(日)、e-pros主催英語指導法研修会が東京・上野の岩倉高等学校視聴覚室を会場に開催されました。今回で通算114回目のe-prosフォーラムとなります。
e-prosの3月期開催のフォーラム(研修会)は、一年間の自らの指導法を振返るとともに、4月からの新年度に向けて先生方は、人によっては大いに悩みかつ大変緊張する大切な時期とも聞きます。

この一年間の指導は、昨年4月のスタートに際して立てた指導計画に照らし合わせて、果たして満足できる結果を得ることが出来たか。生徒一人ひとりに与えた目標、先生自らに課した生徒個々人への対応策は達成できたか。学んだことに対する生徒それぞれの満足感はどうか。先生自身の満足度はどうか。来年度に向けての新しい目標は出来ているか。直ぐに実行できるように整理
されているか。この時期先生方にとっては、いろいろな角度からの反省事項や目標が入り交じって頭の中が混乱したり、葛藤していることはないか。

そのようなことを考えながら、そういう先生がたの疑問や悩みを少しでも解消し、お役に立つような研修会を開催しなければと、e-prosの担当者も大いに考え頭を悩ましながら計画しした3月期研修会だったのです。

従って今回3月期研修会の大テーマは「活動型の授業を通して、英語の楽しさを知る」。この趣旨に添って講師は、テーマに相応しい川村光一先生(埼玉・栄東中・高校)と畑中豊先生(福島・いわき市江名中学校)の、いわゆる工夫された授業の実践派として絶対の定評を持つお二人の先生にお願いをしたものでした。講座題、レジメは次の通りです。

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(1)「21世紀を生き抜くグローバル人材の育成と英語指導」
   - 弾丸インプットとアウトプットを軸に -
   川村 光一先生(埼玉・栄東中学・高等学校)

【レジメ】2020年、大学入試が変る。21世紀を生き抜く現在の中・高校生は、英語を駆使してコミュニケーションを図る力がどうしても必要である。30年前、私の中1の教え子たちは、現在完了形や過去形を自由に使って会話を楽しんでいた。この活動を支えたのは、そのための生きた英語を使う知識と知恵を備えた人間の育成にあった。効果的なインプットと気づきをベースにした教育にあった。

(2)「Use English ~ 生徒に英語を使わせる仕掛け~ 
   畑中 豊先生(福島・いわき市立江名中学校)

【レジメ】生徒に出来るだけ多くの英語を使わせる活動を紹介する。「こうかん絵日記」という活動では、日常生活の「あんなこと、こんなこと」を5文程度で書かせたものをグループで共有させます。バレンタインデーであればmadeやbought,got やgaveなど、教科書で学習したことをタイムリーに使わせることで定着を図ります。これにより生徒が、「教科書で学習したことは役に立つ」と感じとってくれたらしめたもの。“What’s new”や“Today you are Sazae-san”という帯学習とリンクさせることで繰り返し使用できる場を確保し、更なる定着を測る工夫も紹介します。

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今回の研修会への参加数は30名。遠く関西や東北地方から参加した方もいて、熱気あふれる研修会でした。一年間の経緯を振り返り、新年度へ向けて新しい意気込みを醸成する時期だけに、もう少し積極的な参加を期待しましたが、その期待にはやや及ばずの感がなきにしもあらずで残念に思いました。研修会の内容が好評だっただけに、その思いは募るものがありました。

この時期、新学期を目前にして新しい指導法や情報も仕込んでおかなければという思いは強く持っているのですが、この時期だからこそ、少しはのんびりしたい気持ちもあると電話で話してくれたフォーラム常連の先生もいましたから、「先生も生身の人間だ」と、この先生の気持も理解出来ました。なにしろ現場の先生たちは忙し過ぎる。「これからの教育は、教師の質こそが問われる」などとよく言われますが、先生に、自発的に勉強をする時間を与える方法を考えてやらなければならないということを強く感じたことでした。

2016/03/02

アクティブ・ラーニング 秋田の探求型授業が参考に

今年1月30日(土)、一般社団法人日本家庭生活研究協会主催による教育シンポジウム「全国学力・学習状況調査から見る『秋田県の教育と8年間の軌跡』」が開催されました。
全国学力・学習状況調査が開始されて8年、秋田県は第1回調査からこれまで、常にトップクラスの成績を維持しいろいろな角度から注目されその要因に関心を集めて来ました。
開催されたシンポジウムを取材した「教育新聞社」は「秋田県の好成績はアクティブ・ラーニングの実践に通じるものがある」と、この日の説明を社説にして掲載しています。
2月8日付「教育新聞」の社説をご紹介します。

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アクティブ・ラーニング

秋田の探求型授業が参考に


文科省が平成19年度から実施している全国学力・学習状況調査で、秋田県の小・中学校が常に全国トップクラスの好成績を収めているのは、よく知られている。その要因が探求型授業、すなわちアクティブ・ラーニングの実践によるとの、注目すべき報告があった。

報告したのは、秋田県検証改善委員会委員長として長年、秋田県教育の指導・改善に関してリーダー役を務めてきた阿部昇秋田大学教育文化学部教授。(一社)日本家庭生活研究協会が1月30日に都内で開いた教育シンポジウム「秋田県の教育と8年間の軌跡」の中で明らかにした。
同教授は、同県の教育がトップクラスを維持している要因として、

1.熱心に授業・学習に向かう子どもたち
2.考えの発表、話し合い、意見交換を重視する探求型授業の導入
3.授業の冒頭にめあて、最後に振り返り
4.家庭での学習習慣の定着
5.学校-家庭-地域のつながり・連携
6.実質化された授業研究システム
7.授業研究の日常化

を列挙。これらの各項目について詳しく説明した。

その中で特に印象に残ったのは、「子どもたちが自ら考えて発表する、能動的な授業がよく行われている。黙ってノートを取るだけの子はおらず、授業に参加している。学力調査問題への無回答者はほとんどいない。それらの理由からか学力B問題の成績がよい」「秋田県には学習塾が極端に少ないので、家庭学習の習慣が定着している。そのため、家庭での学校の復習が習慣化されて
おり、自分で計画を立てて勉強している。その際、家庭学習ノートが役立っている」「授業研究は個人プレーではなく、研究主任を核にしたチームで対応する共同研究がよく行われている」などの発言だった。

これらの実践報告を踏まえ、「学習者が対話・討論などにより異質な他者との関わりを生かしながら、自ら設定した課題について試行錯誤、判断・批判・推理・検証、発見・創造などの探求を行うことにより、PISA型学力、21世紀型学力を身につけていくための教育方法」とアクティブ・ラーニングを定義。「秋田県の探求型授業はそのモデルになる」と強調した。
アクティブ・ラーニングについては、大学関係者などからは、「知識伝達型講義を一方的に聴く受動的学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習」などと説明されている。
また中教審の教育課程企画特別会が昨年8月に発表した「論点整理」では、
1.習得・活用・探求という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程
2.他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの学習過程を振返って次につなげる、主体的な学びの過程
―があげられている。だが、両者とも抽象論の域を出ず、具体性を欠いている。

次期学習指導要領に向けた改定の方向では、アクティブ・ラーニングを導入する意義について、「論点整理」で「改定の視点は、『子どもたちが何を知っているか』ではなく、『知っていることを使ってどのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送りか』である」と述べている。

この視点からすれば、重要なのは、実践に裏打ちされたより具体的な授業モデルを教育関係者が一体となって創り上げていくかである。そのためにも、秋田県の探求型授業の取組みは大いに参考になろう。
(「教育新聞」2月8日号「社説」より転載)

2016/02/12

一般社団法人主催「教育シンポジウム」
全国学力・学習状況調査から見る『秋田県の教育と8年間の軌跡』に参加しました。

文部科学省が毎年行っている、小学6年生、中学3年生を対象にした「全国学力・学習状況調査」で、秋田県は開始した平成19年度から平成26年度まで連続8年間、常にトップレベルの好成績をあげてきました。秋田県が連続で高いレベルの成績を維持している要因はどこにあるか。これまでの分析によると「家庭での学習習慣の定着」がその要因の一つになっていると言われます。秋田県独自の「家庭学習ノート」の効果的な活用、学校・家庭・地域社会の密接なつながりや連携なども大きな効果をあげています。教科を超えた先生の授業研究会、研修会、共同研究など、いわゆる「PISA学力」や「21世紀型学力」につながる教育(教科)内容を育てることを重視していること。また昨今小中高の先生方の強い関心事となっている授業施策「アクティブ・ラーニング」が、秋田の「探求型授業」として従前より取り入れられて来たことなども好成績につながっているとも言われます。秋田の子ども達のテストの解答に白紙がきわめて少ないことも特徴として挙げられます。

そこで、現代日本の家族問題を捉え、明日の家庭づくりを提言する一般社団法人日本家庭生活研究協会は、私がこの協会の常務理事を務めていることから1月30日(土)東京で、「全国学力・学習状況調査に見る『秋田県の教育と8年間の軌跡』」と題する教育シンポジウムを開催しました。講師を秋田県で教育の指導法や改善を提言して秋田教育をリードする秋田大学教育文化学部教授阿部昇先生にお願いして解説・指導をお願いしました。

 全国学力テストを通じて、秋田県の学力レベルの高いことは広く知られているところですが、それがどういう指導法によって成し遂げられているかについては、どなたも等しく関心を示すところです。折柄アクティブ・ラーニングによる指導法が脚光を浴びています。「アクティブ・ラーニング=探求型教育=秋田県の教育」であり、その教育の実践を指導している先生が、その実際を報告、解説してくださるという勉強会はまさに熱っぽい、有意義なシンポジウムでした。生憎の寒い一日で聴講者の出足がくじかれるような日でしたが、会場のアルカディア市ヶ谷(私学会館)に集まった人は30名余。聴講者からは盛んに質問が飛び、発表者の阿部先生も熱心に質問に応えてくださいました。大変貴重なシンポジウムであり、大いに参考になる内容でしたから「聴講者の声」をご紹介して当日の模様をお知らせいたします。


◎聴講者の声

〇 阿部先生の一つひとつのお話を、その一つずつにもっと時間をかけて伺いたいものだと思いましたが本当に勉強になりました。わが県では昨年度から「学力コーデネーター」というシステムを作って、学力向上に取り組むようになりました。しかし、それぞれの学校にそれを下すと様々な課題が出てきます。それらの課題になっていることに対し今回のシンポジウムで、「こう動いてみよう」という指針を示して頂くことができて大変嬉しく思いました。全ての教員が授業への意識を変え、授業そのものを変えていかなければならないということに気づきました。自分自身の教材研究を含めて乗り越えなければならない山は大きいのですが、とにかくこの月曜日から動いていけそうです。
本当に有難うございました。(小学校教師)

〇 「アクティブ・ラーニング」という言葉は注目を集めている。思考力、判断力、表現力の育成のためのアクティブ・ラーニングであることは間違いないと思う。本日阿部先生からご教示頂き、内言の外言化、学習課程の柔軟化にアクティブ・ラーニングの核があると感じた。何よりも、子どもの学びの高まりのために、今後も考え実践していきたい。(専門学校教師)

〇 アクティブ・ラーニングについて様々な書籍を読みましたが、書かれていることが一つに定まらず混乱しておりました。しかし本日先生の実践例をお伺いし、きちんと整理ができました。有難うございました。(学習塾経営)

〇 本町の子ども達も、とても意欲的で前向きの傾向はあります。しかしそれでもなかな
か学力向上結びついていないのが現状です。本日は秋田県での取り組みについて具体的にご教示頂き、大変勉強になりました。毎日学校で教壇に立つ先生方に対し、少しでも新しい提案ができたらと思っています教員は子ども達を伸ばすことが重要な役目です。
本町でも具現化できるよう計画を練って行きたいと思います。本日は大変素晴らしいご講演を有難うございました。(教育委員会指導主事)

〇 阿部先生のお話から、秋田県の先生方の日々の努力を強く感じました。大変勉強になりました。またぜひその後の経緯をお伺いしたいと存じます。(教育委員会指導主事)

〇 大変勉強になりました。ありがとうございました。短い時間で、秋田の子ども達、秋田の先生の素晴らしさを知ることができました。これからの時代、アクティブ・ラーニングがなぜ必要とされるのか。今後の日本人がどのように成長するべきか。
学校教育の枠のみでなく、国全体の枠の中で世の中の流れ(企業面接、入試などすべて)、価値観を示し、大人が理解していく必要があると思います。成功のためには、「批判力」と『マナー」の両立がカギではないかと思います。クラスのコントロールありきで初めて共同批判がスタートできるのでは?本当に有難うございました。(教育委員会 指導主事)

〇 秋田県の取組みを明確に解説して頂きよく理解できました。今後は「授業スタイル」、「授業研究会」も替えていこうと思います。今回は時間もたっぷりとって頂き、有難うございました。(教育委員会指導主事)

〇 教員がチームで教材選定から授業研究まで、組織で対応していることが大きな違いだと感じました。今回のシンポジウムからは、授業の構成を考えるヒントを沢山頂く機会を得ました。(中高一貫校教諭)

〇 昨日、当市の指定校での研究授業をして参加しました。授業は算数で、課題「自分の考え」(グループは2~3人構成) 友だちの考え(発表を聞く)、まとめで45分です。私は講師の立場でもあるので、とにかく先生の考え方を参考に授業していきたいと思いました。私は講師なので阿部先生にお越し頂いて講演を聴くなどの計画も立てられず残念です。今日は有難うございました。(小学校講師)

   ☆☆☆☆☆

シンポジウムの感想とともに、アクティブ・ラーニングに対する取り組みについて質問をしてみました。しかし出席者のほとんど90%が「これから取り組もうと研究中」で、「指導法がよくわからなくて困っている」と答えた聴講者も若干名いました。教育委員会指導主事が「教育委員会として、学力向上の方向性をはっきりさせて、アクティブ・ラーニングを先生方に進めていきたいと思っている」と書いてくださった聴講者が一人いました。

2016/01/06

1月10日(日)e-prosフォーラム 午前の部講師 奥住 桂先生をご紹介します。

テーマ 「英語指導で共通の「骨組み」は何か」

今度の日曜日、1月10日のe-prosフォーラムでご指導頂く埼玉県宮代町立前原中学校の奥住 桂先生は「英語教育2.0~my home,anfieldroad~」というブログでも知られ、また「「英語教育」(大修館書店)の常連執筆者などによる積極的行動派の先生であることはご存知の方も多いことでしょう。

「英語教師による、英語教師のためのブログ」として熱烈なファンも多いこのブログで奥住先生は、12月31日で次のように述べています。

『今年度は校務分掌が変わり、学年の中で核になる仕事を任されるようになりました。物理的な忙しさというより、精神的な意味でも忙しさを感じ続けていた一年でした。これまでは個人商店的なところがあってマイペースに仕事をしてきましたが、さすがに立場上そうは言ってられなくなったんだな、と思います』

苦労も多くなったが「人とともに働いている」という実感がともなったと言っています。これまで教室では、生徒と生徒とをつなぐ触媒のような働きを、意識的に心がけているという奥住先生。触媒としての働きが教室の内外で、グループを超えたコミュニケーションが生まれ、新しい発見やつながりに広がればいいなと願っていると書かれています。

最近は職員室でも、奥住先生の果たす役割は同じことと考えるようになったと。今年度も残り3か月になってしまったが、今からでもいろんな種を蒔いていきたいと、残された3か月への挑戦が述べられています。

奥住先生は各地で開催される講演会や研修会に講師をされる機会が多いのですが(勿論e-prosフォーラムも)、先生はこれを「お座敷」と洒落ています。昨年は公的な職員研修で我孫子市と草加市で行っています。そこでは、「英語の骨組み」「中身と容れ物」「お皿と料理」という比喩を使いながら、機能語と内容語のお話しとか、それを踏まえて中学校3年間でどんな力を身につけさせたいのか、といったお話をさせて戴いた、とあります。

そして1月10日(日)に東京・岩倉高校で開催されるe-prosにて、現段階でのまとめるようなお話をしたいと思っていると書かれています。興味のある方はぜひどうぞ、と呼びかけてくださっています。午後からは関西外国語大学教授の中嶋洋一先生のお話しもあると。これはe-prosフォーラムのとして大変嬉しい思いです。奥住先生の直接的な授業現場からのお話しと、いつも感動に包まれ涙を流しながら帰路につく中嶋先生のお話しは、まさに年初にふさわしい研修会です。

なお奥住先生の講座タイトルは「英語の骨組みが身につく授業のアイディア」ですが、講座のレジメを次のように述べています。

「助動詞が終ったら、不定詞をおしえなきゃ」と、教科書が進むたびに「違うこと」を教えるのではなく、どの文法、どのレッスンにも共通する「英語の骨組み」を大切にしたいものです。音読から、スピーキング、ライティングまですべてに共通する「骨組み」とは何なのか、一緒に考えましょう。」

会場の岩倉高校視聴覚室は大きな教室となっています。当日、直接お越しになっても十分には入れます。事前予約をされていない方でも、参加してみようと思われたらぜひご参加ください。岩倉高校は、JR上野駅の入谷口改札を出て、目の前に建つ近代的校舎です。

当日のフォーラムにてお待ちしております。

2016/01/05

2016年 明けましておめでとうございます。

本年もよろしくご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
新しい時代に生きるために必要な資質や能力の育成、そのための指導法や評価の在り方等が今年の課題として問われます。
「自ら学ぶ」能動的な学習の展開にどう対応して行くか。優れた実践にe-prosも積極的に取り組みます。

今年もNPO法人教育情報プロジェクトは、e-pros会員を始め多くの先生方のご要望やご意見を参考にしながら、年間を通じて研修会やシンポジウム等を開催してまいります。次世代に向けた学習指導要領の改定作業もいよいよ本格的に動き出します。「使える英語力」を身につけるために、言語活動が活発化してきます。アクティブ・ラーニングへの取り組みは、すでにこれまで自らの授業に取り入れ、また自らの授業のメソッドとして実施し展開してきた先生方がいらっしゃいます。

実際に長勝彦先生が主宰して展開してきた授業研究会(長研)や、中嶋洋一先生の著書「学習集団をエンパワーする30の技」は15年も前に刊行されたものですが、中嶋先生はこの著書の中で、これからは学習者がよりアクティブに学ぶことが必要になってくるとして、ディベートだけでなく、ジグソー学習やフォトランゲージなど、アクティブ・ランゲージを取入れた指導法を紹介しています。

そういうようなことから中嶋洋一先生を、『アクティブ・ランゲージの先駆者』と呼ぶ人もいて、「私たちも中嶋先生のメソッドや体験談を聴講したいので、先生の講座を企画して欲しい」という声が事務局に多数寄せられていました。これらの指導法にともなう授業は、指導する先生の特徴や主張なども含めながらの授業となって、具体的にはこの方法だけということはありません。それだけにいろいろな先生の授業に数多く接して、それらを通してご自分の指導法を作り上げて行くことが大事になります。そして自らの授業を大勢の仲間に見て貰いながら、その授業をしっかり形に整えていくことが大事です。

e-prosでは昨年、一昨年と二年連続で8月期の研修会は、現在東京都立両国高校(一昨年は両国高校附属中学校)の山本崇雄先生に、アクティブ・ラーニングをテーマに、それによる指導法や指導成果等について詳細に発表いただきました。特に昨年8月の講座テーマは、「生徒と共に創る『教えない』授業 ~ 自立した学習者育成のためのアクティブ・ラーニング」で、まさにこれからの英語教育の展開にはぴったりの講座内容でした。山本先生はこの度、学陽書房から「はじめてのアクティブ・ラーニング!英語授業」を上梓し、ベストセラーになっています。

1月10日(今度の日曜日です)は、今年第1回のe-prosフォーラムが開催されます。お正月気分も覚めきれないうちの1月期フォーラムですが、この時期の教育関係の行事はいろいろと立て込んでいて、とてものんびりしているわけにはいきません。もともと3学期は全体的に時間が少ない上に入試や学年末試験など、そうでなくても忙しい時期です。

その上に4月からの新学期の準備、心構えの構築などが重なります。
1月期e-prosフォーラムは、奥住 桂先生(宮代町立前原中学校教諭)と中嶋洋一先生(関西外語大教授)お二人による、まさに新学期の準備、心がまえを構成するためには聞き逃せない講座内容です。当日は三連休の中日ですが、のんびりと連休を愉しんでいるわけにはいきません。ぜひこの日一日は、先生ご自身の勉強日に当てていただきたいものです。

暮れからお正月にかけ東京は好天気が続きました。この調子で今年最初の連休も好天気に恵まれますことを祈ります。一人ひとりの地道な努力で希望の湧く良い年にしましょう。私たちe-prosスタッフも一生懸命努力します。

e-pros事務局(大釜)

2015/08/31

山本崇雄先生によるアクティブ・ラーニング

8月18日(火)開催のe-pros英語指導法研修会で山本崇雄先生(都立両国高校)による「生徒と共に創る『教えない』授業~自立した学修者育成のためのアクティブ・ラーニング~」は、参加した先生の間で大いに注目を集めました。
アクティブ・ラーニングは次に改訂される新学習指導要領の中核となり、学習・指導法として注目されているだけに大変参考になったと好評でした。たまたま取材に訪れていた「教育新聞」の記者が同紙「鉄筆」欄で紹介されていました。

【「教育新聞」8月31日号】 下に紹介します。

「英語教育の研修で実績のあるNPO法人教育情報プロジェクト(大釜茂璋代表)が主催する夏季特別研修会を取材した。強い印象を受けたのは、講座の1つである都立両国高校の山本崇雄教諭による講座(講座名上記のため略)▼参加者は100人を超えていただろうか。公立はもとより、私立の中・高校の英語教師、指導主事や塾経営者も参加。次期学習指導要領の目玉であるアクティブ・ラーニングの手法を少しでも学びたいとする先生方の熱意が伝わってきた

▼講座はたっぷり2時間費やされ、参加者は生徒の立場に立って教師の「教えない」授業を受けた。生徒自らが課題を発見し、ペアやグループで議論してまとめ、それを発表して確認し合うという授業。事前に、教師から辞書の使い方やワークシートの作成の仕方など、さまざまな手法を学んでいたとはいえ、主役はあくまでも生徒たちだ▼参加者からの反応はよく、「これからの英語教育の方向性と授業づくりの視点を学ぶことができた」「生徒が自らの力で学ぶことができるまでの活動と流れが大変勉強になった」「自分が在籍する学校でも使えるところは、そのまま使ってみたい」などの回答があった

▼この日の講座では、実際の生徒(中・高校生)の授業風景がビデオで映し出されていたが、その生徒たちの流暢な英会話を耳にしただけでも、従来の教師による「教える授業」よりも、この「教えない授業」の方が勝っているのではないかと思った次第である。

2015/06/25

「長先生を囲む授業改善勉強会」

5月31日(日)、長勝彦先生をお迎えして「長先生を囲む授業改善勉強会」を開催。長先生は知る人ぞ知る授業改善のカリスマである。先生の英語教育にかける情熱は並々ならぬものがあり、聴講する先生一人ひとりに直接伝わって熱っぽく感じる勉強会だった。

長先生は、墨田区立両国中学校を最後に東京都の公立中学校でのステージからは引退している。しかしその後は日本女子大学、武蔵野大学で教鞭を執り、併せて多くの著書、自ら開発した英語のビンゴなどを通して、若い教師たちのファンも多い。

長先生を囲んでの勉強会、次回は9月20日(日)の午後1時30分から、東京・JR上野駅前の岩倉高校の視聴覚室で開催される。テーマは「英語の授業は英語で Part2」。経験の基づいた、かつtrendに添った授業法の講座である。

2015/03/20

3月期フォーラムが終わりました。

約20名の聴講者が熱心に

2015/03/06

ホームページをリニューアルしました!

ですが、更新方法に不慣れなため四苦八苦しております。"(-""-)"
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