もっと身近に誰にでも!

フォーラムレポート

一覧へ戻る

英語教育東京フォーラム(2008.03.08)

和製英語とカタカナ語(2)  前田 正晶

フリーサイズ      one size fits all、
【解説】フリーは確かに自由だが、英語ではfreeはadmission freeのように入場無料の意味で使うので、このようにどの大きさにも合わせられるという意味で使う発想は凄いと思う。フリーは割合にフリーに使われているようだ。

フリーライター    freelance writer、
【解説】これも単なる一例。フリーランスとするべきだったが、freeだけが残ってしまったと解釈している。フリーアナウンサーも同類。まだまだある。

フリーダイヤル   toll free dial、
【解説】ここではtollと言う見慣れない言葉が面倒だと思ったのか省かれてしまった。

フリーマーケット   flea market、
【解説】fleaは蚤のことで、これは本来「のみの市」だったらしい。カタカナにすれば発音がフリーなので、何となくfree なmarketのような感覚で捉えていないか?

フリーバッテイング   batting practice、
【解説】野球用語は除外すると言ったが、例外で一つだけ入れておく。

オープンカー   convertible or soft top、
【解説】見た目で決めたか?コンバーティブルはカタカナ表記しにくいし、発音も困難と思ったのか。言葉の誤用に入れても良いかも知れない。

オープン戦 exhibition game、
【解説】オープンで置き換えられた言語は何れも発音しにくかったのか?これも立派な日本語であると思う。practice gameと言うのを聞いたこともあったが。

ボディーチェック     body search、またはsecurity check、
【解説】確かに身体をチェックするのだが、searchの代わりに使ったのは単語帳的知識のような気がする。最近は身体だけではなく靴までチェックされているのを知らないのか!

プライベートブランド   private label、
【解説】これなどは明らかにbrandの意味をはき違えていると思う。屡々使われているPBではなくPLとせねばならないのだろうが、これだとProductliability=製造物責任と混同されないような配慮があったのか?でもおかしい。

ピットイン   pit stop、
【解説】inとout、upとdownを恣意的に使っている造語が多いのもカタカナ語の特徴であると思う。イメージアップ、イメージダウンもその例になると思う。

ゴールイン   finish or reach the goal or break the tape、
【解説】これも上の例と同じだが、ゴールアウトはない。

メインバンク    main financing bank、
【解説】これなどは如何にも英語らしいが、アメリカにはこういう観念というかシステムがないと聞いた。

スケールメリット    advantage or economy of scale、
【解説】メリットをここに持ってくる知識があれば・・・。meritは何か褒められ、賞を貰え、崇拝されることをさすと思う。

イメージチェンジ  makeover、
【解説】主語と動詞の順序が入れ替わっているのが特徴。

ヒーローインタビュー   interviewing the hero、
【解説】上と同様で、いわば単語を並べただけという感がある。

オーヴァードライヴ   outdrive、
【解説】これも単語を並べているだけ。ゴルフの言葉である。自分たちの感覚で作り上げたと解る言葉だ。

ヴァージンロード   aisle where a bride walks or aisle of the church、
【解説】もうここまで来ると発想の凄さに感心する。如何にもそれらしく作ってある。

アフターサーヴィス   service after the sales or after sales service、
【解説】これも語順が違う。だが、意味を上手く表しているところが凄いと思う。

ナイスショット   good shot or excellent shot or beautiful (golf) shot
【解説】うまく言えないが、こういう場合に使う言葉ではない気がする。

ガソリンスタンド   gas station or filling station、
【解説】何故stationの変わりに使ったのだろう?newsstandというから、それを真似たのか? 
                                
モーニングコール   wake-up call、
【解説】朝の電話と聞けば如何にもそれらしいのだが?

ランニングマシン   treadmill、
【解説】ランニング用のマシンという意味か?だが、これではマシンが走っていることになりはしないか?ランニングスローと同じくらいにおかしい造語だ。

ロスタイム   extra time or injury time、
【解説】散々言ってきたことだが、lossを形容詞で使ったのだろうが、それならばlostと過去分詞にした方が良かった。だが、それでも英語とは違ってしまう。

カットソー   cut and saw、
【解説】これなどは初めて見た時には何か新たな編み方の固有名詞かと思った。

ヴァイキング   Smorgasbord or buffet、
【解説】ヴァイキングまたはバイキングは日本語に近いと思うが、北欧風の料理の意味でもある。Oxfordにはその意味を取り上げられていない。

コイントス   flip (toss)a coin、
【解説】これも日本語の語順に従っている。経験した限りではトスよりもフリップを使う人が多かった。ノースウエスト航空とシアトル空港で座席の予約の有無で争った時に、責任者と称する人物がそれならば”Let’sflip a coin.”と言いだして驚かせてくれた。

タイピン   tie bar、
【解説】言葉の誤用に入れても良いくらいの珍妙な言葉である。tiepin=ネクタイピン(アメリカではstickpinというらしい)なるものを最後に見たのは1951年=昭和26年12月だった。これはネクタイの結び目にさす飾りのことで、宝石があしらってあったりしていた。そんな物を見たことがある人がいたらお目にかかりたい。これは遺憾ながら戸籍を得ている。洋品店ですら間違いに気付いていないのが凄いと思う。ネクタイ関連で他にはtie clip(clasp)とtie tackがある。後者はピンをネクタイの表から通してワイシャツの裏側で止める形の物である。これの使用者も年々減少していると思う。

チアガール   cheer leader、
【解説】これも完全に日本語だろう。応援をする人たちなのである。だが、面白い事実は男性もいるのにチアガールという言葉があってもチアボーイは聞いたことがない点。

テーマミュージックまたはソング     theme music or song、
【解説】themaはドイツ語である。それを英語と組み合わせて新しい言葉を創造した点が素晴らしいと思う。先人に拍手。テーマパーク等というのもあった。

バレンタインデイ  Saint Valentine’s Day、
【解説】これは私好みの造語である。元の言葉の謂われは兎も角、Saintが省略され、所有格のも飛ばされてしまっている。所有格と複数の観念が日本語にないためにか、造語かカタカナ語にする過程で、このsは省略されていることがほとんどである。これが面白いのだが。レディーファースト=Ladies firstもその例だろう。

アイスコーヒー iced coffee、
【解説】余談から入ろう。1962年に初めて大阪に行って「レイコ」と言われて何のことか解らなかったが「アイスコーヒー」だった。ここは矢張りiceを過去分詞の形容詞として使った方が良いと思う。カタカナ語化する過程では概ね過去分詞化する作業が省かれるのが特徴だと思う。またまた余談だが、アメリカの野球場内の売り子(vendor)は冷たいビールを”ice cold beer”と叫んで売っている。
( つづく )
【前田正晶さんは長い間、英語使うビジネスの第一線で活躍をしてきました。前田さんの英語学習法から実際に英語を使っていた頃の思いをこめた異色のエッセイです。わたなべりゃうじらうメイル・マガジン「頂門の一針」より転載、主宰者ならびに執筆者許可済み】

一覧へ戻る


top