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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2008.04.04)

e-pros主催3月期英語教育フォーラム開く!
                                      大 釜 茂 璋 (NPO法人教育情報プロジェクト代表)

新学期! 充実したスタートに向けて -授業力を高めるための意識と行動- をテーマに、NPO法人e-prosの3月期英語教育フォーラムは、3月29日(土)、東京都千代田区の日本教育大学院大学を会場に行われました。この日は地元東京をはじめ関東近県、新潟や京都など遠方からの参加者も含めた50名による、充実した研修会でした。
折からの東京は桜満開。まさに春爛漫のうららかな一日。日本教育大学院大学のある四谷・市ヶ谷界隈は、桜の多い東京でも、特に桜の名所として知られています。外堀に沿って桜並木が続く通称市ヶ谷の土手。道一本を中に入ると靖国神社の賑わい。境内を横切って靖国通りを渡ると、繚乱の千鳥が淵の桜へと続いています。そんな桜に埋まってしまったような、華やいだロケーションの中での研修会となりました。会場までのアクセスは、JR、地下鉄各線の四谷駅あるいは市ヶ谷駅から徒歩6分、地下鉄有楽町線麹町駅から徒歩2分という至便の地。ところが新しい大学院大学ということもあって、もの珍しさはあるがアクセスが不慣れな人が多く、会場到着まで思ったよりも時間がかかったと、開始ぎりぎりになって飛び込んできた人も多く見られました。

和気あいあいの雰囲気で始められたフォーラムのトップバッターは、e-prosフォーラムの発表では初登場の伊藤由樹先生。しかし伊藤先生は、e-prosセミナーには開始当時から殆んど参加していて、またいろいろな研修会に参加して勉強をしているだけあり、初めてとは思えないスピード感ある手馴れた発表でした。
テーマは「今までに習得した文法を自分の言葉として身につける方法」。コミュニケーション能力の育成につながる指導の中で、いかにして学んだ文法能力を活かしながら身につけるかという、伊藤先生の実践の中から生み出した指導法を、具体的に体現できるワークショップでした。全員が身体を動かし、その動きの中から学び、気付かせる指導法はリズム感があり、軽快なテンポも小気味よく感じました。

続いての川村光一先生は、「弾丸インプット」の考案者であり、また現役教師たちによる授業法の研究、指導効率を高める自主研修グループ橋架村塾の主宰者として広く知られています。川村先生の卓越した指導技術は誰もが認めるところですが、類稀ないアイデアマンとしてもよく知られるところです。e-prosの活動もよく理解してくださり、これまでもe-prosフォーラムの講師を積極的に務めてくださっています。
今回のテーマは「リーディングを基本に置いたコミュニケーション指導法」。大量の資料を用意してくださいましたが、講座を第1部の「Let’s enjoy using English」と、第2部の「マイクロティーチング」に分けて行われました。
第1部ではアルファベットからフォニックスへというリーディング指導の基本、fruit, sport,school, natureといったジャンル別、あるいはしりとりやGuessing Gameなどを使った単語の学習法、第2部では教科書からマザーテレサを題材にした授業から、先生自身の授業展開とその指導法を披瀝してくださいました。
教室で実際の授業を受けた生徒の反応からは、「難しかった」という声もありますが、「難しかったけれど面白かった」「マザーテレサのことがよくわかった。彼女は凄いと思った」という声も数多く見られました。結局教材の難易度よりも、授業に取り組む前の準備や、教材にたいする教師の知識、工夫された指導法などによって生徒の反応に広がりの出ることが指摘され、それがそのまま授業力となっていると考えられます。

NHKのラジオ講座でお馴染みの太田洋先生には、今回、e-prosフォーラムでは初めて講座を持っていただきました。昨年4月から放送された「レベルアップ英文法」の聴取者も多く参加して、ユーモア溢れる先生の一言一句に笑いが飛び出す、明るく楽しいワークショップとなりました。
太田先生のテーマは「授業力アップのためのちょっとしたアイデア ―― 新しい年度を迎えるにあたり考えておきたいこと」。授業力を向上させていくための大切な考え方を指導してくださいました。食卓でトマトを食べるにしても、そのまま丸ごと一個でも食べられますが、ナイフを入れることでもっと食べ易くなり、これに一つまみの塩を振りかけることでより美味しくなるという話しは、そのまま教材の活用法につながるものでした。まさにこの一つまみの塩が、ワークショップを通しての勉強であり、新しい指導法の創出であり、発見にもなると思ったことでした。この塩の一つまみを効かせることで、リスニング、ライティング、スピーキングの指導法を、多くの例を引用しながら伝授してくださいました。生徒をじっくり観察してのモニターの大切さと、それによる授業の工夫を強く指摘していました。
要はワークショップから何を学び、何を工夫できるかということが大切だということです。朝の10時から昼休みの50分を挟んで夕方4時20分まで、充実していただけに疲れも激しいフォーラムでしたが、楽しい熱っぽさも印象に残りました。

終了後、「軽く打ち上げをして帰りましょうか」という川村先生の呼びかけに、20名もの人が残ってくださいました。隣のレストランで川村先生、太田先生を囲んでの打ち上げ会も有意義で、ワークショップで聞いた話の延長や、自前の指導法を披瀝する人もいて楽しい会でした。レストラン前の三本の桜は今が見ごろ。フォーラムで疲れたそれぞれの目と頭を、優しく癒してくれるようでした。          
( 了 )
平成19年度に予定されたe-pros英語教育フォーラム全8回は、この3月期フォーラムで滞りなく終了しました。講師を快く引き受けてくださった多くの先生方、そして真剣に参加してくださいました聴講者のみなさまに厚く感謝いたします。またいろいろな面からご支援くださいましたエデュケーショナル ネットワークを初め多くの企業、団体にも心より御礼を申しあげます。

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