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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2008.04.24)

英語の苦手生徒への対処法 
         大 釜 茂 璋(NPO法人教育情報プロジェクト 代表)

 伊吹保昌先生が勤務する八洲学園高校は、単位制の通信高等学校です。中学校を卒業した後、何らかの理由で進学できなかった人、あるいは高等学校を途中で退学した人、また自分に適合した教育システムを捜している高校生など、この学校で学ぶ人は様々です。
 この学校の教育方針は、通信制高校としての基本となる「自学自習」を通して、自ら学び、自ら考える力を育成するところにあります。もちろんリポートの作成やスクーリングなどで、日ごろの学習をフォローしています。この基本姿勢を貫くことで、基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実させ、高等学校の卒業資格を付与するのです。
 昨年3月期のe-prosフォーラムで伊吹先生は、「生徒の学習エンジンがかかる英語教材ネタ集」というテーマで講座をお持ちくださいました。
 ここで紹介したように通信制という学校の特徴から、指導にあたっては一人ひとりの生徒について、「どういう生徒と一緒に英語を勉強しているのか?」をしっかり把握することが大事と放しています。
 そして1時間目の授業から、学習エンジンがかかっていない生徒に、徐々にエンジンをかけることを目的に、筆記用具の用意をさせるとともに机間巡視をしています。そこでは「挨拶」を呼びかけ、出席確認をしてウオーミングアップのための教材プリントを配ります。
 ウオーミングアップの時間が済んだところで、準備していった様々な教材ネタを使いながら、生徒を授業に引き込んでいきます。(こういう経験や授業に心当たりの先生はいますか?)しかし似たりよったりで、どこの学校やクラスでも、このような授業を試みたいというケースはあると聞いたことがあります。
 そのようなとき、一般の学校の教師たちはどのような対処法をとっているのでしょうか。昨年のフォーラムで伊吹先生は、いろいろなレベルに合わせながら、様々な教材ネタと指導法を具体的に披露してくださいました。事務局には、とても参考になったという声が沢山寄せられました。
 そして講座の終わりで、次のように締めくくってくださいました。
『勉強嫌いの生徒は、どのようにしたら「英語学習の波に乗ってくれるか」と教育現場で歩み続けた結果、考え付いたのが今日発表させていただいた教材です。特に月曜日の朝の1時間目の授業は、まさしくblue Mondayです。テンションが低くなっている生徒を、徐々にテンションを上げていき、授業についてくるようにするにはどうすればいいのか?と考えます。そこで作業的な教材ですが、生徒が「さあ~やろうか」「これならできそうだな」と、鉛筆、シャープペンなどを手に持ち始めたらこっちのものです。
 自分で作業をすることを好む生徒に、取り組み易い授業の展開方法を試行錯誤を繰り返しながら、教材や指導方法を開発してきました。今日の発表が、同じような悩みをお持ちの先生方の指導案作成に、また授業の参考にしていただければ幸いです。最後までお聞きいただき有難うございました』
 勉強を嫌い、あるいは勉強をしたくないという生徒は、なにも通信制の学校の特殊性とするものではありません。どこにでもいるのですから。そういった生徒を指導する教師の、苦労と努力が如実に滲み出る講座でした。
 とはいっても、このような教師の苦労を理解できるようになって生徒は大人になり、やがて教師に対する感謝の気持ちとなって報われるのではないでしょうか。

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