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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2008.09.27)

弾丸インプット"の活用と効用
       大釜 茂璋(NPO法人 教育情報プロジェクト代表)

中・高校の英語教育に携わっている方には"弾丸インプット"という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。英語の指導法に「弾丸」なんて物騒で似つかわしくないなという声もありましたが、弾丸とはスピードとかスピーディーといった感覚を
意味するものですから、これはあまり神経質に気にする必要はないのですが・・。

さて中・高校の英語教育は文科省の「英語が話せる日本人」育成方針に則り、英語でコミュニケーションが取れることを目的に、その指導法に新しい動きと期待が出てきたことはよく知られているところです。

コミュニケーション能力の育成といっても、これまでの読解中心の指導からどう脱却するか。聞いたり話したり、それに対応する適切な教材や指導法をどうするか。そしてまた、上級学校の進学に対応させる受験指導をどうするか。これには中・高校の教育現場でも大いに悩み、対応策に苦慮する教師が続出したものです。

そこでこのような目の前に広がる直接的な悩みを解消し、生徒達が意欲的にコミュニケーション能力を向上させる指導法として、川村光一先生が開発したものが"弾丸インプット"です。川村光一先生は埼玉県春日部市の中学校で英語を教え、主として若手英語教師を対象に、英語指導法の実践・研究グループの教架村塾を主宰する、活動的かつ情熱的な現役英語指導教師です。

弾丸インプット開発者の川村先生は、開発のきっかけを次のように述べています。

(以下「New弾丸インプット」より)
『私は大学2年のときに、アメリカのオレゴン大学に短期留学をした。しかし留学当初は苦難の連続であった。それもそのはず、英語を聞き、話す授業などは大学生になるまで受けたことがなかったし、常に英文を読み訳すという英語教育の中で育ったからである。

しかし私は、この留学中に、日本人がなぜ英語を聞き、話すことが苦手なのか、その原因を掴んだ。それは次の5つである。
(1)スピードある英語に慣れていないために、英語を意味のある言葉として聞き取ることができない
(2)話すときに一度頭の中で単語を浮かべてから、文法の規則に従って英作文を
をして口に出すために、すぐに話し始めることができない
(3)発音に異常に神経質となり、自信をなくし、話すことをためらう傾向がある
(4)英語でまとまった話や意見を聞いた後に、質問をしたり答えたりする経験が少ない
(5)常に英語の正確さに神経を使い、英語を聞いたり話したりすることに大きな負担を感じるところがある。つまり難しいと思い込んでいる』(引用終わり)

単身乗り込んだ異国の地で、言葉が通じずにコミュニケーションが取れないという心細さは、まさに味わった人でなければ分からないもの。そこで川村先生は、いろいろな国から来ている人たちの英語を聴いて、大切なのは発音ではなく、むしろイントネーションやアクセントのほうが大切であることに気づいたというのです。

そこで毎日慣用表現を口に出すことによって、繰り返し覚えることで脳に負担をかけずに英語が口から出てくるようになったというのです。つまり、思っただけでその英語表現が出てくるまでトレーニングをし、覚えた表現を意識的に使うようにしたのです。これが"弾丸インプット"のルーツです。

このようなご自身の体験を背景に開発した"弾丸インプット"ですが、これまでも多くの先生方に活用され、英語嫌いの生徒を英語好きに変身させたり、英検など学校外の英語テストでも好成績をあげるなど、顕著な成果をあげてきております。

今度これまでの"弾丸インプット"に新しく手を加え「New弾丸インプット」を完成させましたが、改定にあたり次のように述べています。

『"弾丸インプット"は、英語を使って自分の考えや意見を自由に言えるようになる基礎を作るインプット活動である。このインプット活動が、従来のドリルや教科書を学習することをベースにしたインプット活動と大きく違うところは次の5つである。

1."弾丸インプット"は会話をベースにしているので会話の流れを掴むことができ、ディスコース力の基礎となる
2.ペア活動が主となり、しかも適宜ペアを替えるので、活動が単調になることなく楽しく学習できる
3.弾丸の命はスピードにある。制限時間を設けて読むことや暗記して話すことが出来るように、インプットするために、ネイティブスピーカーのナチュラルなスピードに困らない。さらには速い英語を聞き取る基礎にもなる
4.ステップを踏み、さらには毎時間の繰り返しにより定着率が非常に高い。むしろ「忘れられない」といった状況をつくる
5.言語材料に焦点を当てた場合のターゲットが明確であり、スーパー弾丸インプットを併行してやることにより、イングリッシュサロン("弾丸インプット"の指導法の一つ)というアウトプット活動に、効果的に結びついている

"弾丸インプット"を活用することで生徒はゲーム感覚で英語を勉強し、これまで英語に興味を示さなかった生徒たちも俄然やる気を出し、楽しそうに英語に取り組む様子が報告されております。教室内は活気づき、これがあの無気力な生徒だったのかと目を疑うことがあると話す教師もおります。まさに生徒の無気力を指摘する前に、何を、どういう方法で指導するかが授業力を高める方策です。

10月19日のe-prosフォーラムでは、開発者川村光一先生が弾丸インプット活用法を、いろいろな指導ケースを組み入れながら、じっくりと指導を試みます。どうぞご期待ください。

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