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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2008.11.11)

e-pros立ち上げまでの背景

       大釜 茂璋(NPO法人 教育情報プロジェクト代表)

教育情報プロジェクト(e-pros)が、NPO法人として東京都の認証を得たのは2003年(平成15年)10月のことである。

年を越して2004年の夏以来、中高校の英語教師並びに将来英語教師として身を立てようとする大学生や大学院生を主たる対象に、英語指導者フォーラムと銘打ち、「英語指導法研修会」を東京で開催してきた。今年10月の開催で34回を数えたから、年間平均8回の開催である。楽しい思い出である。

何故英語に特化した研修会を開催してきたのか。

英語の扱いについてはとかくの批判もあることだが、国際化の進展とともに、今後国際交流の主たる言語としての英語の位置づけと、当プロジェクト主宰者(代表)が長年にわたり、財団法人日本英語検定協会常任の専務理事として、実用英語検定機関の責任的立場にあって、わが国の英語教育の現場に携わってきたことが強く影響している。

戦後の教育行政の狭間で、学校の英語教育も大きく揺れ動いてきた。この間学習指導要領がほぼ定期的に変化し、また上級学校の入試科目で英語が重要視されるに及び、そのまま中高校の英語教育に強い影響を与えてきた。

まさに中高校における英語指導の目的は、入試そのものであった。「受験英語」という言葉が独り歩きし、言語本来の目的とはまったくかけ離れた英語教育が横行したのである。しかもそのような英語教育に、誰もが疑問を持つこともなかったのである。

そもそも言語は意志の疎通を図る道具であり、コミュニケーションの重要な手段である。受験のための一手段であることは決してない。

英検が設立された1963年。戦後も数十年経ち政治経済、文化芸術等において国際交流が盛んになってくると、共通の言語を求める声が高くなってきた。当然経済力は、使用する言語の占める位置づけを強くする。

英語の必要性が高じたのは当然である。生きた英語を使える実用英語教育への期待・要望は、社会の普遍的な要請となってきた。これは学校の英語教育にも大きく影響する。

ここに至って従来の英文読解や文法中心の英語教育から、コミュニケーション重視の英語教育への転換が迫られてきたのである。読む、書く、聞く、話す要素を言語の四大要素という。

しかし従来の英語教育は、「読む、書く、聞く・話す」となっていて、「聞く・話す」は一括りにされ、学校では殆ど取り上げられていなかった。それが四大要素を同比重での教育に変わり、聞いたり話したりする「オーラル面の強化」が叫ばれるようになったのである。

それに合わせて教科書が変わった。対応する様々な種類の教材、指導器材が開発されてきた。教育現場の教師たちは、これらの環境の変化にどう対応するか。怒涛の如く押し寄せる社会の期待や要請にもどのように対応するか。

受験英語時代とは違って、当然新しい指導法の開発、工夫等が必要になってくる。英語教師たちは頑張った。絶対評価法で4技能を的確に評価すると謳った「英検」を指針として、新しい英語教育を模索することになった。新しい英語教育法を教師自ら学び、研究した。

自主的な研究会や研修会も数多く開かれるようになったが、教育現場を持つ教師たちによる自主的な研修会やセミナーの開催は、必然的に限界がある。何とかならないかと現場からの声は、日々高まって行ったである。

以上のような経緯を踏まえ、特定非営利活動法人(NPO)教育情報プロジェクトを立ち上げ、現役の教師や大学生などから希望者を組織して現在に至っている。

現在会員は約1,000人。少しでも会員に負担をかけないとして入会金はなし。法人の努力で、ささやかな収益活動と研修会開催時の参加費から運営費を捻出する。

参加費は一律4,000円だが、2人以上で参加の場合は一人3,500円に割引くとともに、将来に向けて学業に励む大学生・大学院生は無料で参加を認める。せめてものNPOとしての心意気である。最近は平均40人~50人の参加者常時集め、主として東京・麹町の日本教育大学院大学を会場に開催している。

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