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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2008.11.14)

目標を持つことの大切さ

       大釜 茂璋(NPO法人 教育情報プロジェクト代表)

目標を持った行動と、それを達成させるための努力は強い相関関係があります。目標も定めずにやるだけやってみようと取り掛かる作業は、やっているうちに力を抜いたり、あるいは諦めて途中で放り出すことはよく目にすることです。

研修会やセミナーなどでも、今聴講している方々の"やる気"はきわめて高いとか、あるいは誰かに強制されたかのように、単に義務感だけで参加しているといったことを感じることがよくあると話す、有名講師の声を聞いたことがあります。

有名講師といっても、現役の教師を前に講座を持つためには、相応の準備をするとともに、心構えをもって研修の場に臨むのです。しかし真剣に学ぼう、今日の研修で何かを感じ取って帰ろうという意気込みを感じるのは、その会場に一歩足を踏み入れただけで分かるというのです。

結局一歩入ったときの、その会場の雰囲気がやる気で充ちているときは、目標とするものをしっかり持って参加している聴講者が多いときに感じるといいます。

目標とは、自分に不足しているものは何かということをしっかり弁えている人にこそ備わるものです。この生徒たちの英語力をこの程度まで達成させる、あるいはさせたいという目標のもとに日ごろ指導をしているかいうことに結びつきます。そのための指導法、あるいは経験不足など、研修を通して学んで帰るという前向きの気持ちで参加しているかどうかということです。

「何を学ぶか」という、その日の研修から学ぼうとする具体的な課題を持って参加している人が多いほど研修会場の雰囲気は充実し、講師も大いに張り切るということです。

先日の朝日新聞に「公立小・中が『学力公約』」として公立小中学校の中に、「中3の60%英検合格」などとマニュフェストをつって指導にあたる学校が増えているとの報道を見ました。学力向上において、学校独自の目標をつくって取り組む動きが顕著になって来ていることを報じたものです。

この動きは既に東京の世田谷区などは、かなり早い時点から取り入れていましたが、目標を設定して、それに向かって学校全体が行動を取るという、前向きの動きが広がっていることは必要なことだし、大いに喜ぶべきことだと思います。

今年度から「学力向上マニュフェスト」を導入した東京都荒川区は、「学力向上は今の学校の大きなテーマ。各校の創意工夫を伸ばしたい」とする区教委の指示のもと、33の全区立小中学校が、各ホームページで内容を公表しています。

学力向上を求める保護者の声が背景にあるとしながらも、「子どもや現場の教員にプレッシャーがかかり、教育が変質しないか心配する声もある」と、いかにも朝日新聞らしい批評もありましたが、目標を掲げた教育を目指す動きを支持したいと思います。

先述の荒川区は、これにともなう物品購入などに1校当たり80万円が使えると同紙は伝えています。目標に向けて、まさに具体的かつ実質的な動きです。

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