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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2007.11.01)

全国学力テストの結果から学ぶこと
      大 釜 茂 璋(NPO法人教育情報プロジェクト代表)
 この夏から秋の高気温がそのまま影響したということで、今年の紅葉は例年に比べて一週間から十日遅れとテレビは報じていました。
 やっとこの頃になって、北の地方から、見事な紅葉の季節到来の映像が送られてくるようになりました。高い山はうっすらと雪化粧をして色鮮やかな裾野と対比の美しさを見せていました。
 全国225万人の小学校6年生、中学校3年生が参加して実施された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果発表がありました。
 結果が数字に表れるだけに、それぞれの教育委員会の対応は悲喜交々に、これまでの施策が成功していると胸を張るところ、ショックだと肩を落とすところ様々と、各マスコミは報じています。
 しかし目先の数字はあくまでも一過性のもの。この結果から何を学び、どのような手当てをしながら児童・生徒の学習意欲を高めていくかが大事ではないでしょうか。例え良くても悪くても、テストの結果だけに捉われて、次に向けた反省、対策を怠るならば、それはテストをした成果にはつながりません。結局テストを活かすも殺すも、そのテストを仕掛けた当事者たちの対応次第です。
 今回の結果では秋田県、富山県、福井県といった、どちらかというと比較的に大都会の文化から離れている地域の結果が上位にきて話題になりました。新聞では、「こんなに東北や北陸が良い結果でびっくりした」と驚く評論家がいたり、持ち家比率に比例しているのではないかとか、親の経済的な安定度合いが影響しているのではないか、あるいは離婚率や生活保護率と関係がありそうだなどと、取り敢えずの分析だけではわからないことが多分に含まれているように思います。
 ここは一つ上辺の分析だけでなく、教育にかける費用の問題、少人数学級や習熟度別クラス編成などとともに、一人ひとりの教師の指導法研究への取り組みなど、じっくり考えて対策を講じていただきたいものです。
 教師が学校外の研修会やセミナーに参加することを躊躇するような雰囲気の学校の話や、フォーラムに参加したい若手教師に嫌味を言う先輩教師の話を耳にすることがあるのは残念に思います。(フォーラムを主催していることからの手前味噌ではありません。念のため)
 自分の実践体験や研究成果を発表したり、また他の教師の発表を聞いて、自分なりに考え、研究し、新しい指導法を創りあげていくといった行動こそが、生徒の学習意欲を生み出していく原動力になると言っても過言ではありません。
 テストの結果はこのような教師たちの、地道な努力につながっているのです。
(おおかま しげあき 元英検専務理事)

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