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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2007.11.16)

11月期講師・阿部一先生の主張から
   ― 落ちこぼれをなくして活気ある教室づくりを
 最近各学校では、やる気がない、落ちこぼれるといったことが大きな問題となっています。安部一英語総合研究所では、全国の小中高や企業などから依頼されて、英語教育プログラムやカリキュラムを客観的に評価し、問題点を是正して、差別化を図ったり強化したりする仕事に取り組んでいます。
 ここで誤解されている局面にぶつかることがあるといいます。ある学校の場合、指導がうまくいかないのは、その学校の教員の授業力・指導力が弱いせいと決め込み、有名予備校のカリスマ講師と呼ばれている人々を招き、特別講座をやったということです。
 これについて阿部先生は、学校のためにはなっていないというのです。阿部先生は言います。カリスマ講師と呼ばれる予備校の講師は、タレント性があり、話術に長けて、その意味では授業は上手です。しかしそれが機能するためには、一流の予備校のように受講する側が入試合格や、英検、TOEIC受験などといった目標がはっきりし、それだけ意識が高いことが絶対条件です。
 しかし極端なことを言えば、一流といわれる学校のように、既に意識が高く、やる 気がある(いわゆる優秀な)生徒は、たとえどんな教え方でも、場合によっては放っておいても一定以上の成績はキープすると言うのです。
 しかし今緊急に必要なことは、彼ら優秀な生徒に火をつける教師よりも、英語の教室でただぼーっとして、早く時間が過ぎないかなーと窓の外を見ている生徒、目の前の英語が暗号にしか見えなくて、勉強しようとすると頭がクラクラしてくる生徒などに、「えっ、英語ってそんなに難しくないんだ!」「英語の勉強も悪くないじゃん。ちょっと真剣にやってみようかな」と思わせるような環境づくりのできる教師の育成でではないでしょうか。
 出来ない、弱い学習者の立場で、「どうしてだろう?」と一緒に考えてくれる教師、「大丈夫だよ。ちょっとぐらい時間がかかっても、必ずわかるようになるよ」と、ニコニコ温かく励ましてくれる教師こそが今必要なのです。
 そういう教師はどうやって育てられるのでしょうか。それはそのような経験をしながら、いろいろと先輩教師の真似をし、工夫をしながら、苦労して乗り越えてきた経験豊かな教師の話を聞くことです。実際の講座を聴講して、そのようなとき自分ならばどうするか、自分のクラスの生徒一人ひとりを頭に思い浮かべながら、自分ならばどんなふうに考え、どんな対応策をとるかを考えてみることが大切です。場当たり的に生徒と同じスタンスで、ただぼーっとしていたのでは解決しないのです。

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