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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2007.11.29)

生徒の好きな教師の条件
 ― e-pros11月期英語指導者研修会から
         大 釜 茂 璋(NPO法人教育情報プロジェクト代表)
 NPO法人e-prosが主催する「11月期英語指導者研修会(フォーラム)」が、11月23日(勤労感謝の日)、東京・銀座3丁目にあるエデュケーショナル ネットワークE-スタッフ研修室で開催されました。11月の後半を迎えて小春日和の続いた東京地方でしたが、この日の朝は今秋最高の冷え込みで、さすがの銀座通りを行く人も両手をポケットに突っ込み、首を縮めて亀の子状態で歩く姿が目立っていました。
 英語指導者研修会の会場を銀座に開設したのは、e-prosフォーラムをスタートして以来始めてのこと。中にはちょっと場違いじゃないのと戸惑う人もいましたが、交通アクセスは最高だし、ちょっと華やかな気分で研修するのも刺激的でいいんじゃないのいう声もありました。今回の研修室が入っているビルは、JRの有楽町駅から歩いて5分ていど。クリスマスのデコレーションが華やかな銀座プランタンの裏側に回ると並木通り。ワゴンサービスで賑わう買い物客を横目に、並木通り郵便局も入る並木ビルへ一歩入るとまったく静かな別天地。エレベーターで4階に昇ると落ち着いた研修会場です。
 当初は初めての会場ということで一抹の不安を感じたものでしたが、10時半からの講座開始に先立ち、事前予約者とは別に冷え込んだ朝の空気の中、遠く新潟や栃木などから、大勢の当日受付の受講者が参加してくださいました。参加者の中には、これまでの「e-pros通信」などのほかに「頂門の一針」など、e-pros以外のメルマガの記事を見ての参加者もいて、英語研修会も新しい広がりを見せていました。 今回の研修会のテーマは「教材作成と効果的な指導法を探る!」。英語学習の興味や関心を刺激し、英語学習に前向きに取り組みかつ成果を高める方法を学ぶことが目的です。日ごろの授業で如何に教材が大切かは誰もが気づいていることですが、教材を活かした指導法をどう構築するかはどなたも頭を悩ますところです。教材を上手に使うことは時間の使い方にも大きく影響し、それが授業力の差となって顕れてくるのです。
 その見地から今回の研修会は、実践的な教材研究に熱心な、東京都北区の星美学園中高等学校の稲葉隆浩先生、長年にわたり英語の指導法を研究し、教師対象の指導法研修会で豊富な実績を持つ阿部一英語総合研究所の阿部一先生の講座でした。稲葉先生の手作りの教材は温かみを感じ、市販のカラー豊かな教材よりも生徒には新鮮さを感じるところがあると、教材を通して生徒の気持ちを掴むコツも披瀝していました。
 阿部先生はまさに実践指導です。「教えてやる」式に、しゃべりすぎの教師や板書し過ぎの教師は生徒に嫌われる傾向があるという話は刺激的。ぎくりとする参加者を見越したように、そこのところを、教材を使いながら如何にカバーしていくかが大切であると。生徒に好印象を与え、いわばその指導に生徒が協力しようとする教え方何か。やはり長い経験を通して話す一言一言は含蓄が深く、教えられることの多い内容でした。
 生徒の好きな教師の条件は何か。阿部先生はその条件として、(1)明るい人柄、(2)声が大きいこと、(3)パフォーマンスができること、の3点をあげました。生徒に分かるように話す、生徒が身を乗り出して教師の行動を注目するといった教室風景には、常にこの3点が存在するのです。間の取り方、目や手の使い方、顔の表情など、これらは落語家のパフォーマンスにつながるものがあると、e-prosのフォーラムで指導をしてくださる府中第二中学校の田口徹先生、春日部市の中野中学校の川村光一先生などもよく指摘するところです。
 最近のフォーラムには大学生や大学院生の参加も目立って多くなりました。座学よりも実践教育とはよく言われていることですが、やはりこのような実践的な内容を盛り込んだ研修会から学ぶことは多く、明日からの授業で直ちに参考になると好評でした。
(e-pros代表 おおかま しげあき) 

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