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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2012.7.09)

実例は教訓の十倍も有効
                     大 釜 茂 璋

 そうそう頻繁には通ってはいない居酒屋から定期的に「はがき通信」が送られてくる。「酔人閑話」というその通信名もなかなか粋だが、書かれている文章に味があって愛読している。

 今朝開けたポストに届いていた「酔人閑話」のお題は、"実例は教訓の十倍も有効だ"(百六十三話)とあった。それには大凡次のような教訓が付されていた。
 
「人間の想像力には限界があり、実際あった話、自ら体験したことには納得するが、理屈や教訓めいた話には眉に唾して聞き流すことが多い。

 この言葉は、18世紀のイギリスの政治家で雄弁家として知られるフォックスの言葉として伝えられている。

 もっとも洋の東西を問わず同義語は少なくない。例えば『漢書』にある"百聞は一見にしかず"などがそうだ。

 世界のビジネスエリートの養成所として知られるハーバードビジネススクールの教育は、徹底したケーススタディ主義で知られるが、まさにこの考えの上で次代の経営者が鍛えられている。プラグマティズムの国アメリカらしい風景と言ってよい。」(以下略)

 文章はこの後、実例に頼るだけで物事は解決されないことも事実だと結んでいるが、これは日ごろの教室における授業でも同じことが言えるのではないかと思った。

 大学などでは座学を主に授業の進め方などはしどうされ、どうしても実践的な実学の面が疎かになる。かといって大学だから、何でも教えられるものではなく、そこは個人個人が学び努力する面も必要である。まさに指導法の体験などはその範疇にはいることだ。

 あの先生の指導法を体験してみたいと思っても、そのチャンスに恵まれなければ実際に体験することはできない。そのチャンスを生かすために各個人の努力が必要ということで、機会が与えられなかったから体験できなかったということにはならない。

 機会を生かすということには、それ相応の努力が必要である。その努力によって、言葉でなされる教訓の十倍も有効な実例に触れることが出来るということだろう。今度のe-pros夏季特別研修会におけるは太田洋先生、金谷憲先生の講座は、まさにこの教訓の実践だと思った。

 今度の講座を担当してくださる両先生の教授法を、次代を担う若手教師たちへの伝授とともに、新しい指導法を生み出す糧にしていただきたい。

(おおかま しげあき NPO法人教育情報プロジェクト代表)

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