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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2012.8.10)

2012年学力テストの結果から(新しく理科を実施)
                     大 釜 茂 璋

 小学6年生、中学3年生を対象に行ってきた全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が公表された。今年4月に実施したこのテストでは今回から初めて理科が含まれたが、公表された結果では特に中学生の理科離れが顕著である。そして小中はともに、観察や実験の結果分析から、考察・説明する力に課題が残ることがわかった。

 意識調査では、小中とも国語、算数・数学に比べ、理科好きが多く、その一方で中学になると授業内容の理解度が低くなる傾向が出てくる。理科離れは中学で進む傾向がはっきり表れていることがわかった。

 今回意識調査の中で、「授業で学習したことは、社会に出たときに役に立つと思うか」との質問があった。これに対し小学生では算数(90%)、国語(83%)で、約9割の子どもが「役に立つ」と回答しているが、理科は73%と低かった。

 中学になると教科の開きはますます大きくなり、国語(83%)、数学(71%)に対して理科は53%。「学んでも役に立たない」と考えている人が約半数である。日本の教育現場では、もっと理科の魅力や楽しさ、活用面との関わり方などを教えることが、外国に比較して劣っていることが指摘される。

 今回も抽出方式で行われたため、都道府県別の平均正答率は1~2%の誤差が生じていると見られているが、秋田県や福井県などの最上位は変わらず、沖縄県、北海道、高知県などの下位クラスも変わりはなかった。

 小6では前回と同じように、国語A,B,算数A,Bに新しく理科を加えた全5科目で秋田県がトップ。福井も国語Aと算数A、理科で2位となっている。

◇秋田大学阿部教授の指摘する秋田県の学力 トップクラスの秘密
 秋田県の学力がトップクラスを維持する要因として、ちょっと古いデータではあるが、2010年に社団法人日本家庭生活研究協会が主催して開催した教育シンポジウム「日本一の教育力を問う!」で、秋田県の子ども達の全国平均を大きく凌いでいる項目を、秋田大学教授阿部昇先生は概略次の点を指摘しています。

1.熱心で落ち着いて学習する子どもたち
 ○私語が少なく落ち着いている  ○ 礼儀正しい
2.考えを話したり書いたりする学習および話し合い意見交換をする学習
 ○国語で資料を読み、自分の意見を話し、書く
 ○授業で友達と話し合い意見交換
3.補充的学習及び少人数学習・個別指導
 ○放課後を利用した補充的学習(週4回~月数回)
 ○長期休暇を利用した補充的学習(5日以上)
4.家庭での学習習慣の定着
 ○家で学校の復習  ○国語 保護者に家庭学習を促す働きかけ
 ○家で苦手な教科の勉強  ○算数 家庭学習課題を評価・指導
5.家庭・地域と学校の連携
 ○地域の行事に参加  ○授業参観など学校公開日
6.生活習慣が安定
 ○家族と朝食を一緒  ○朝7時前に起床  ○夜10時・11時前に就寝
7.優れた研修システム

(1)県・地域の施策・事業「算数・数学学力向上推進事業」「国語力向上モデル事業」
 「学校・大学パートナーシップ事業」「教育専門監」の配置
 「算数・数学学力向上支援ウェブページ」「学習状況調査」等
(2)校内授業研修会、小中連携授業研修会、地域授業研修会??の充実

◆2012年実施学力テストの上位クラスは次の通り。
 小学6年生 
 科 目   1位  2位 3位  4位 5位 
 国語A   秋田 福井 石川 青森 香川
 国語B   秋田 富山 石川 福井 香川 
 算数A   秋田 福井 石川 青森 富山 京都
 算数B   秋田 石川 福井 東京 京都
 理 科   秋田 福井 石川 青森 富山

 中学3年生 
 科 目   1位  2位 3位  4位 5位
 国語A   秋田 福井 富山 山形 群馬
 国語B   秋田 福井 富山 山形 石川
 数学A   福井 秋田 富山 石川 静岡
 数学B   秋田 福井 石川 富山 群馬 岐阜
 理 科   福井 富山 石川 秋田 群馬

(おおかま しげあき NPO法人教育情報プロジェクト代表)

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