もっと身近に誰にでも!

フォーラムレポート

一覧へ戻る

英語教育東京フォーラム(2011.3.25)

一年生教頭 がむしゃら奮戦記

       川 村 光 一(埼玉県幸手市立幸手東中学校教頭)

◇よし、"美しい卒業式"だ
 今の学校に赴任したとき、中庭の温室にはゴミが溢れ、壊れたブロックが校庭のあちこちに落ち、校舎は汚く、掲示物は殺風景で、体育館は汚れ、入学式を行ったときはよく我慢しているなあと思いました。国旗、市旗、校旗は薄汚れ、紅白幕は破れており、それをガムテープでとめていました。

 そこで私は決めました。よし来年の3月にやる卒業式は美しい卒業式にしよう。スローガンは「美しい卒業式」です。

◇まず温室からだ
 それから私の取り組みが始まりました。まずは、温室です。片づけ土を耕し、生徒と枝豆と朝顔を育てました。収穫時はみんなで枝豆を食べました。大きな穴を掘り、壊れたブロックはそこに、生徒に手伝ってもらい埋めました。

 3種類の旗はクリーニングに出しました。3年生にかけ合い卒業対策費で紅白幕を買いました。そして多くの行事で写真を撮り、ものすごい数の掲示物を作りました。そういう思いが生徒に伝わりました。生徒に声をかけるとみんな手伝ってくれました。ある生徒と一緒に花壇をつくりました。その生徒は農業高校の造園科に進みました。崩れかけたクラスを担任と共に立て直しました。

 金策にも走りました。ベルマークのポイントが7万円ありました。 廃品回収で2万円、PTAとかけあい10万円を得たのです。これを元に学校をきれいにしました。廃校になった中学校から机、椅子、スリッパ、楽器、ありとあらゆる使える物を持ってきました。私が廃校から物をもらっていいかと聞いたら「くずばかりですよ」と担当は応えました。私はそれでもいいと言って頑張りました。だってそこは宝の山だったのです。

◇朝会で熱く語った
 次は精神を鍛えました。朝会で熱く語りました。授業を各クラス2時間やらせてもらいました。メッセージを書きました。何度も教室訪問をしましたが、いやがる生徒はいませんでした。むしろ歓迎されました。卓球部でも熱血指導をしました。生徒はみるまにうまくなっていきました。

 その甲斐あってこの3月は、本当に歌声の溢れる立派な態度の「美しい卒業式」ができました。

 「こうしたい」という具体的なビジョンを持つ。これこそがすべての原動力だと思います。そして今思うに、ピンチはチャンスであると。ピンチはやることが沢山あるんです。今、日本はピンチです。だからこそやることがたくさんある。それが今です。微力かもしれませんが、共にこの日本のためにがんばりましょうね。
(かわむらこういち 幸手市立幸手東中学校 昨年4月から同校教頭就任)

一覧へ戻る


top