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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2011.3.26)

授業とテストとの関連をどう生かすか
 『英語教育』に掲載の中嶋先生の解説から

 中嶋先生がまだ富山県の中学校で、英語を教えていた頃の話。『英語教育』(大修館書店)に「その気にさせる 授業マネージメント-テストの活用Before & After-」というタイトルで執筆した原稿が掲載されています。

 この中で先生は、生徒は「適切なテスト」でこそ育つと書かれています。「テストは健康診断と同じで、それは血液・心臓・胃などの健康状態を知り、問題がないかどうかを知るためのもの」とだからです。そうだからテストも次のようなねらいを明確にもって、適切に診断することが大事です。

(1)つけたい力の到達度が判断できるテスト
(2)指導が適切だったかを振り返れるテスト
(3)結果から、次の見通しが生まれるテスト

 かつて中嶋先生が教師の対象にしつき1回開催していた中嶋塾に集まってきた先生通しで、テストをやりっぱなしにしないために、テストを返した後の指導について話し合いが行われました。《以下は『英語教育』(大修館書店)からの抜粋です》

(引用開始)(1)テストの質を変える
 テスト前は、いい点数をとりたいから勉強する。テスト後は、知りたい、分かりたいから勉強する。そこでテストを返した後に、生徒が答えを知りたくなるような問題にする。
つまりテストの質を変えるということだ。「覚えたことを書かせるテスト」から「考えて解くテスト」へと変身させる。「表現」なら、事前に「こんなことがかけるようにしておくこと」を伝え、当日のテストではそれに「条件」を加えておく。「理解」なら授業で教えた「読解力」、シャドウイングで鍛えた「聞く力」が応用できるような問題にする。
(引用終わり)

 要は授業を活性化するということは、平素の授業とテストには、当然のことながら強い関連性があるということです。授業で教えたことをしっかり身につけているか。指導案ではきちんとマスターさせることになっていたが、その通りの成果を得られたかどうかをテストの結果から図らなければならないとなれば、テストとの関連性を常に意識して授業を進めることになります。

(引用開始)(2)テストの返し方を変える
 テストの返し方はいろいろなやり方が考えられる。
(1)テストを返す時、出来や平均点を説明してから返すか。それとも返してから説明するか。
(2)説明は教師がするのか、小先生(生徒の代表)がするのか。ペアで確認させるのか。
(3)テスト後の指導(反省)はどうするのか。
(4)他のクラスとの平均点を比べるのか。前回のクラスの平均と比べるのか。それとも自分の前回のテストと比べるのか。(引用終わり)

 これにたいして中嶋先生はご自身のケースから、ここにあげた指導法にたいして具体的に解説しています。例えば、(引用開始)
(1)の場合 私ならばテストを返す前に10分程度、問題用紙を見ながらペアで話し合わせる。レディネスを作る(思い出す)ためだ。いきなり配ると、点数だけに一喜一憂して終わる。また、配る前に問題(観点)ごとの平均点を板書する。自分の点数と比較して、得意なところはどこか、弱点はどこかを知り、自分の取り組みを分析するように伝える。
(2)の場合 説明は有る程度教師が、残りの問題は小先生がペアで行う。テストを返して教師の方から解説をする場合、生徒は答えを写して終わることが多い。しかも多くの場合、文法の問題や英作文を先に説明する傾向があり、長文は後回しになる。結果は時間切れとなり、家でやっておきなさいということになる。

 私のやり方は逆だ。長文の解説のみを丁寧に行う。生徒が知りたいには長文の解き方なのである。

 そこで試験中に個々がスラッシュで切った場所が正しいかどうかを確認し、コンテクストの読み取り方を全体に問いかけ、印(→、△、□など)をつけながら説明していく。
「言語の知識」に関する問題や「表現」については、解説シートを貸し出す。授業終了時に回収することにして。(以下略)

 ここで中嶋先生が述べているように、授業とテストは強い関連性を保ち続けるということである。従ってそれは学年始めの、指導案作成のときから十分に意識した指導案作成でなければならない。

 このような指導案のもとに、それに添った授業とテストの絡みが、学習者をその気にさせる要因となるのだ。

 中嶋先生は原稿の最後で、「教師は教え上手よりも、カウンセラーのように、学習者の心理を生かした『のせ上手』『させ上手』を目指したいものだ」と述べています。まさに自信一杯の授業は、自信一杯の指導案があってのこと。教師としての信念を盛り込んだ指導案をつくりましょう。可愛い生徒のためにも。
(大釜 茂璋 NPO法人教育情報プロジェクト代表)

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