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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2011.11.16)

【情報】「朝日新聞」夕刊11月15日付報道から(一部抜粋)
公立高校入試 学力試験へ回帰の傾向 - 推薦入試廃止の動き
 今日は職場で、昨夜「朝日新聞」夕刊に掲載された『公立高入試 学力へ回帰』という記事が話題になった。なにしろこれまでの入試で定着していると思われた推薦入試を廃止して、テスト必須化の動きが急になったという。

 入試の多様化の促進を教育の方針と打ち出されて以来、80年~90年代に普及した調査書や面接重視の選抜は思うような学力向上にはつながらなかった、というのが理由だ。当時、偏差値に頼る「学力偏重」は生徒指導において大きな問題があるとされた。そう言えば一芸入試などという制度が開発されて、何か一つ他人よりも秀でたものがあれば合格が保証されるという話を聞くこともあった。剣玉日本一の力で大学に合格したという有名な話もあった。大学は学問を通して心理の探求をするところであれば、剣玉との関係を哲学的に検討しなければならない。

 新聞によれば、例えば宮城県では2013年春の入試からは推薦入試を廃止して、全受験生に3~5教科の学力試験を課すことになったという。現在は5教科の学力試験などで評価する「一般入試」と、学力試験のない「推薦入試」の2本立てで行なわれている。そうなると、推薦入試に向けて、面接や作文の練習に集中しがちになる。

 従って「推薦入試」を突破するためのいわゆる受験勉強は、面接の練習で気の利いた話術と要を得た作文の書き方を身につけることにある。それは当然のことで、推薦入試という目的突破のために、相応の準備をするとなれば当然面接の練習と作文のお稽古ということになる。

 これには、中学3年生後半の大切な時期の学習意欲を喪失させているという声もある。

 埼玉県は昨春の入試から受験生全員に3~5教科の試験が課されたが、来春入試からは5教科が必須になった。09年までは、学力試験を必要としない試験で、高校進学者全体の4割が合格したという。

 昨年の入試後、埼玉県教育が県内の公立中学校長に次のようなアンケートをしたという。
 「学力試験の必須化で、生徒の学力育成や学習習慣の定着が図れたか」

 これに対して「そう思う」「ややそう思う」との答えが87%に達したという。これは県教委のほぼ狙い通りの結果だという。

 同じように公立高校の入試において、学力試験の必須化は静岡県や千葉県で始まっており、佐賀県や神奈川県でも今後の導入が決まっている。いずれの県教委も「学力向上や学習習慣の定着が目的」と話している。

 これらの動きに対して文部科学省は、「進められた試験の多様化が、各地の事情で改善されている状況だ。運用は各地の教委に任せてある」と話しているという。

 受験事情に詳しい森上教育研究所の森上展安代表(e-pros理事)は、「調査書に書かれた生徒の評価に対する高校側の不信感もあり、学力試験重視につながったのだろう。1回の学力試験で十分な能力評価は難しい。客観的に評価できるスポーツや芸術面での入賞実績など、学力以外の活動の評価に、より力を入れるべきだ」と話している。(参考資料:朝日新聞)
          (NPO法人教育情報プロジェクト代表 大釜茂璋

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