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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2010.2.17)

プラスエムという会社                  

大 釜 茂 璋(NPO法人教育情報プロジェクト代表)

 もう随分古い話しになりますが私が旺文社に在籍していた頃、長岡稔という人が同じ課で働いていました。大学受験生を対象にした「大学受験サークル」や「全国学芸コンクール(現在の全国学芸科学コンクール)などが主な業務でした。彼は群馬県の出身で朴訥そのもの。几帳面にこつこつ仕事をしては受験指導やコンクール作品の審査をお願いした先生方に可愛がられる一方、これと信じたら梃子でも動かない頑なな一面をも持ち合わせた男でした。言い換えれば信念の男と言ってもいいと思います。

 その後旺文社広告局に異動し、いろいろな業種のクライアントを相手にクリエーティブな仕事を展開して多くの信頼を集めていましたが、その後一念発起、独立して株式会社プラスエムを設立し、ちょうど今年で10年という節目の年を迎えたということです。

 プラスエムという会社の設立趣旨は次の通りです。
 教育現場(学校)と社会(企業やいろいろな団体)のジョイント役として両者の関係を推進する会社。21世紀のキーワードは「教育・環境・IT」に代表されるが、このような新しい視点に立った教育には、学校と社会の連携が必要となる。プラスエムは、企業・団体に教育現場への関わり方のプランを提案し、学校で学ぶ児童・生徒と「学校・家庭・地域社会」が一体となった教育環境の実現を目指す、というものです。
○いろいろなジャンルにおける、教育現場での体験イベントの企画・実施
○教育分野を対象にしたキャンペーン、セミナー、ワークショップの企画・実施
○教育イベントやキャンペーンの運営・事務局業務
○「総合的な学習の時間」など、授業のコーディネート
○教育現場における諸調査
○青少年の健全育成や教育に関る活動への支援

 こういう地味にこつこつ努力し、堅実な運営をモットーとする教育関連企業が、苦節10年間の風雪に耐えながら生き抜いてきたということは、ちょっとした驚き
でした。

 2月6日、東京・神田の日本学士会館で創立10周年の記念シンポジウムが開催されました。私も友人のよしみで招待され出席しましたが、仕事に関る多くの方々が参加して大変盛会でした。中には関西や北海道からの参加もあり、10年間の渉って見守り応援をしてくださった方々の感動的な出会いでもありました。

 時代の推移とともに教育は、学校と生徒・児童との間だけで処理できるものではありません。そこには家庭はもちろん、地域社会、企業など様々な人や組織が絡み合い、それぞれの持つ能力が作用しあってより高度で確実な成果が期待できるというものです。

 長岡社長はこの会社の生い立ちを、ここ数年間にわたりブログに書いてきましたが、創立10周年を記念して「プラスエム春夏秋冬」(A5版210頁)として上梓したものです。これは教育を基盤に置き、かつ資本力もまったく乏しい新設企業社長の苦節経験をそのまま吐露した貴重な体験記。まさに涙ぐましい奮戦記です。

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