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フォーラムレポート

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これからの時代の英語教育と指導法を考察する(0819)

第118回フォーラムレポート

 去る8月16日(金)、第118回e-pros主催の「英語指導法夏期特別研修会」が、上野の岩倉高等学校視聴覚室を会場に開催されました。この夏休み中2度目の研修会でしたが熱心な若手教師が参加して、きわめて熱っぽくかつアトホームな研修会となりました。

7月の研修会では、文部科学省の指導主事が直接指導してくださることから参加者各自きわめて真剣さ充ちた研修会でしたが、英語教育が益々新しい動きを見せる中で、教育現場を担う現役の先生方は8月研修会もきわめて熱心に聴講しました。8月の総合テーマは、変革する英語教育の潮流を捉えて「これからの時代の英語教育と指導法を考察する」でした。ご承知のようにわが国の英語教育に対する文部科学省の方針はグローバル時代の進展に合わせて、「英語を話せる日本人」であり、「英語を使って仕事が出来る日本人の育成」にあります。

かつてのように高校や大学に入るための手段として、要は入試で選別の手段とするための英語教育からは完全に脱却しようとしているのです。そういうことから英語の評価として、英検など外部で制作した問題による成績を、英語力の評価として認めようという新方針が大きく浮上してきました。日本英語検定協会が主催する英語検定試験はあまりにも有名ですが、他にもTOEICやGTEC、あるいはTEAPなどが外部試験として注目を集めているのはご承知の通りです。

今回の講師のお一人である柳瀬和明先生は、高校教師から英検の問題制作アドバイザーとして英検に移籍した先生で、現在は検定問題制作アドバイザーをされています。TEAPの開発は、上智大学の吉田研作先生などに協力していますが、今やTEAPは、大学入試の外部試験の切り札としてゆるぎない存在にあることは多くの関係者が知るところです。

今回柳瀬先生の講座題は、「初級から中級の『壁』を考える-CEFR Bレベルの「離陸」に向けて」です。先に文部科学省が行った英語力調査事業によると、中学3年生の多くがCEFRのA1下位レベル、高校3年生についてはCEFRのA2レベル以下で、Bレベル以上は非常に少ないという結果が出ました。ここから日本の英語学習者にとってBレベルは一つの大きな「壁」と思われます。

この「壁」とはどのようなものでしょうか。今回の研修会ではCEFR各レベルの能力記述文から見えること、CEFR-J【CEFR-日本版】の語彙研究から見えること、そして圧倒的多数の中高校生が受検する英検の級から見えることに基づいて考察しました。

午後の部の講師は、わが国英語教育界の大御所である東京学芸大学名誉教授、金谷 憲先生でした。金谷先生は長期間にわたり文部科学省の英語教育関係審議委員会の委員を務められ、英語教育界の信頼を一身に集める実力派有名教師でもあります。

今回の研修会における金谷先生の講座題は、「基礎の定着-英語教育最大の課題-」でした。言語教育においては基礎をしっかり固めることが大事で、とかく基礎の学習を疎かにしがちだがこれはきわめて危険であると金谷先生は警鐘を鳴らします。中学校での学習をしっかりやることで、大学入試もかなりの高率で解答することが出来ると金谷先生はいうのです。

中学で扱う基礎がしっかりマスターしていれば、たとえば慶応義塾大学文学部は75.6%、法学部80.0%、早稲田大学政経学部は84.0%、理工学部は86.0%、中央大学経済学部は89.0%、法学部は85.0%が解答可能であり、駒沢大学・立教大学文学部は100%解答可能となっています。

金谷先生の著書あるいは監修したものの中から、一例を挙げると関連著書は多数出版されています。ぜひ書店で手に取ってご覧ください。
『教科書だけで大学入試は突破できる』(大修館書店)
『中学英文法で大学英語入試は8割解ける!』(アルク選書)
『高校英語教科書を2度使う!』(アルク選書)
『横浜5Round System~1年に教科書を5回くり返す中学校英語授業』
(ジャパン・ライム)
『わかる使えるAmbitious英文法』(桐原書店)
『英文法リアクション・トレーニング 基礎編』(アルク)
『英文法リアクション・トレーニング 応用編』(アルク)

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