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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2010.8.3)

◆第1回 e-pros夏季特別研修会◆第1回 e-pros夏季特別研修会
講師と講座
(1)青野 保先生(埼玉県東部教育事務所指導主事)
     講座名=「多読・多聴を活かした英語指導法」
(2)田口 徹先生(東京・九段中等教育学校教諭)
     講座名=「中高6年間を見通した入門期の指導」

 夏休みが始まって1週間から10日。8月1日の日曜日、この夏第1回e-pros主催英語指導法特別研修会は、全国的に猛暑の続くなかで開催されました。この日、東京も朝から気温はぐんぐん昇り開講前の9時には既に30度を越す勢い。

この暑さでは事前予約をした参加希望者すら出足が鈍りそうとの心配をよそに、受付を設置する前から熱心な聴講者がぞくぞく集まってきました。遠く関西から参加した人もいて、結局は50名を越す盛況のもと研修会は開始されました。

 来春から小学校への英語導入も本格的にスタートするなど、今後日本の英語教育は大きく様変わりすることから、二学期からの英語指導はそれなりの変化が予想されています。そういう環境のもと今回の研修テーマは「二学期からの英語指導法-小中連携に向けた準備と心構え-」。そして講師は気鋭の青野保先生(埼玉県東部教育事務所指導主事)と田口徹先生(東京都千代田区立九段中等教育学校教諭)のお二人でした。

 青野先生は埼玉大学教育学部附属中学校勤務当時からe-prosフォーラムではご指導を頂いてきましたが、四年前、指導主事として教育行政に携わるようになってから研修会講師などから離れていました。しかし多聴・多読の指導法は長い間先生の研究・実践テーマで、その指導法は定評がありました。それだけに昨今のように多読・多聴を取り入れた指導をする若手教師が多くなり、e-prosの事務局には青野先生の講座を希望する声が頻繁に寄せられるようになったものでした。

 田口先生にも前任校の府中第二中学校当時は、e-prosフォーラムでは数回にわたりご指導をお願いし、圧倒的な人気を集めていました。ところが昨年の4月、九段中等教育学校に転任されてからは、中等教育学校で高校課程も教えなければならないことから、新しい教育システムに馴染むまでは外部から依頼される研修講師はすべてストップして専念されました。

 高校課程を受け持つことは中学校課程とは違った内容と指導法のため、当初はかなり戸惑いもあったようです。その状況を田口先生独特のユーモアを交えた話は刺激的で面白く、出席した受講者たちから明るい笑いを取っていました。田口先生ほどのベテラン教師でも、環境が変わるとそんなにも緊張感を持ち、新しい職場に真剣に取り組むということがわかったことからも、ぐっと親近感を持った人が多かったようです。自分の苦労を、「なぜ苦労したか」、「そのためにどういう方法を取りながら解決していったか」。このプロセスとノウハウに接しただけでも随分勉強になったと、研修会終了後に話している参加者もいました。

 青野先生の講座開始のウォーミング・アップで披露された"HipでGo!"は、巧みなユーモアの中で生徒たちが楽しく英語の勉強をしようという雰囲気を作り出していきます。教室中が明るい笑い声で満ち、心弾む雰囲気を醸し出して授業は始まります。

 田口先生の張りのある明るい声は生徒たちの気持ちを高揚させ、そのままの雰囲気で生徒たちの声も大きくなります。田口先生の講座から私は、「国語の本を読むときはぼそぼそと小さな声の子が、英語の教科書を読むときは大きな声になるんです」と話していたある母親の言葉を思い出していました。大きな声で教科書を読み、生徒たちに問いかけるその生徒の通う学校の、英語のI先生を知っていたからです。

 国語教師の声が低かったかどうかは知りませんでしたが、英語は大きな声で読むもの、話すものと、その先生は自分から実践し生徒は素直に身につけていたのです。生徒は教師の背中を見て育つということです。田口先生は日ごろ話している「教師は授業で勝負する」を常に実践しているのです。
(NPO法人教育情報プロジェクト代表 大釜茂璋)

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