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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2010.11.04)

音読指導にひと工夫を―阿野先生に聞いてみよう                      大 釜 茂 璋


 授業を活性化する英語の指導法を研修するe-prosフォーラムでは、参加者からいろいろな話題や質問が出ます。休憩時間や参加した先生方同士の会話の中でもよく耳にします。それは何かというと音読指導を授業の中でどう扱うかということです。

 音読はなるべく家で学習させることにして教室ではほとんどやらないという人、私の後について一度だけリピートさせているという人、一度は足りないから二回はやっているという人、授業には指定された箇所を自宅で3回以上音読することを義務づけている人もいました。

 先生方の話を聞いていると、授業をスムーズに進めるためにも音読は大事だと、音読の重要性や必要性はほとんどの人が認識していますが、音読をじっくりやっていると、文法や読解などの時間がどんどんなくなるというのです。生徒も受験にあまり関係のない箇所や項目は、やらないか少なくして、文法、単語などの語彙、読解などをしっかり教えてもらったほうがいいと言って来る子もいるというのです。

 こうなってくると、指導案も指導計画もないなと苦笑する人もいましたが、教える側からすれば、教えて欲しいという項目を教えたほうが生徒も一生懸命やるし、また教え甲斐もあるという人もいましたが、これじゃ大学受験予備校と大して変わりはないなと思ったものでした。

 大修館書店から出ている「英語教育」をご覧になっている人も多いと思います。今度の11月期e-prosフォーラムで講師として指導をしてくださる文教大学の阿野幸一先生と、今年も8月期のe-prosフォーラムでご指導頂いた駒沢女子大学の太田洋先生が対談形式で指導する連載「アノ先生・ヒロ先生の日々の授業にひと工夫」が人気を呼んでいる英語教師の雑誌ですからご存知の方も多いでしょう。

 2008年10月号のこの連載に、「音読指導にひと工夫」という記事が載っています。この中で阿野先生が最近受ける質問に、「英語の学習に音読は必要ですか」というものがあると言っています。これに対して太田先生が、音読無くして英語の上達はあり得ないと答えています。阿野先生は、中学では半数から」3分の2くらい、高校では3割程度が日常的に音読を取り入れているといいます。

 つまり音読はきわめて大切だということがわかっていても、どうして授業で取り入れないかということ。何故か。阿野先生の解説では、「やっても声が出ない」「音読までやっている時間的余裕がない」「やっても声が出ない」などが多く、中には「音読は宿題にしている」という答えが返ってきたこともあったそうです。

 そして音読の効果は、英語の語順のままの内容を理解する習慣がつくことや、単語と文法の意味と使い方が、文脈と一緒になって記憶に残るなどいろいろある。でも一番強調するのは、音読が英語の基礎を作るトレーニングだと阿野先生は話します。

 これを受けて太田先生は、(生徒に対して)「音読は理解した英語を頭の中に残すために行うんだよ」と話していると言います。繰り返し音読することによって、自分が理解した英語が頭の中に入って自分の英語データベースとなり、役に立つと話すそうです。その際「自分が話しているように、内容を伝えるように音読することが大切だ」と、音読のポイントを付け加えています。

 「頭の中に英語を残すはポイントですね」と阿野先生はこの指導のコツを指摘しています。まさにその通りだなと思いました。実行する生徒も、その勉強法の目的をしっかり把握することで、勉強に対処する勢いというか乗りが違ってくると思いました。

 今度のe-prosフォーラムでは、こういった体験と実践に基づく阿野先生の、含蓄のある指導法を直接聴講することが出来ます。"音読指導"どのように取り入れ、どのような効果が期待できる指導法をとっていますか。

 なおご存知の方も多いと思いますが、阿野先生はNHKラジオ講座「基礎英語3」の講師としても知られます。明るく歯切れのよい阿野先生のアノ英語、今度のe-pros研修会ではじっくり聴きながら学び、楽しむことができます。

(おおかま しげあき NPO法人教育情報プロジェクト代表 社団法人日本家庭生活研究協会常務理事)

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