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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2010.11.26)

小学校の英語指導に触れることができました            


 学習指導要領の改訂により来年4月から小学校では外国語活動が始まることはだれもが知っていることです。e-prosの英語指導フォーラムにも最近は小学校の先生が参加するようになりました。様々な工夫を凝らしながら、国際理解活動の一環として英語によるコミュニケーション指導をしているところも数多く見受けられます。

 11月23日、日本教育大学院大学を会場に開催した11月期e-pros英語指導法フォーラムでは、埼玉県幸手市立幸手小学校の吉野学之紀先生が、「英語ノート1
 Lesson5から、「I don't like blue ~いろいろな衣装を知ろう~」をテーマに実践報告を行いました。

 この単元では、世界の衣装を紹介しながら、様々な普段着の言い方を知り、それらを買い物の場面を設定して、実際に買い物をする擬似体験をさせるという内容の授業を行い、その模様をDVDやカードなどを使いながら紹介しました。

 学習指導要領の内容(2)「コミュニケーションに関する事項」に、

1.外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験すること積極的に外国語を聞いたり、話したりすることとあります。

 本単元では、買い物を想定しての活動を取り入れます。買い物は店員と客のやり取り。客は自分の欲しいものを店員に伝え、店員は客の欲しいものを間違いなく聞き取ることで買い物が成り立ちます。この点から、相手とのコミュニケーションにおいて、「相手にはっきり自分の思いを伝えること」と、「相手が話したことをきちんと聞くこと」が大切であることを気づかせます。

 また学習指導要領の内容(3)「言語と文化に関する事項」に、(2)「日本と外国との生活、習慣、行事などの違いを知り、多様なものの見方や考え方があることに気づくこと」とあります。今回の研修会における報告では、世界の衣装を扱いました。衣装は、その国や地域における気候や宗教から、特有なものになっています。実際の物や写真などを用いることで、世界の文化を身近に感じるようにし、日本と世界との考え方の違いに気づかせたり、外国の文化に興味をもてるようにしたい。

 この発表を受けて、実際に授業を見た川村光一先生が、当日の授業の講評と問題点や気づいた点を指摘し、この日の研修会に参加した人々に発表したものです。

◇阿野先生の講座-あっという間の3時間でした

午後からの阿野幸一先生の講座は、「英語教育」(大修館書店)に連載されて好評の、太田洋先生の対談形式の指導を彷彿させるものでした。講座題は「授業を通して『教師と生徒の学習意欲をあげるひと工夫』」。

 各教師が直面しそうな問題点を分類して提示し、それに対応した指導法を具体的にかつ丁寧に解説し、具体例をあげながら指導してくださいました。阿野先生は現在、NHKラジオの基礎英語3の講師でもあり、現在放送中のテキストを使いながらの音読発表は、これまでにない授業活動でとても新鮮。受講する側もじつに楽しそうでした。

 阿野先生の大学の研究室は、いつも講義のない学生たちで一杯といわれます。学生たちが集まってわいわい議論する光景が目に見えますが、阿野先生の明るいキャラクターは学生たちにもゼッタイの人気。研究室は阿野先生が在室のときはもちろん、たとえ留守のときでも学生たちが集まってはいろいろな話題に花が咲いているようです。

 そんな話題も散りばめた阿野先生の講座から、配布した資料の一部を抜粋してご紹介しますから、後に掲載する参加者の声と合わせて研修の模様を想像してください。

1.生徒のために授業を変えていきたい!=生徒の輝いた目を見たい!
(1)研究会で見た「あんな授業がしたい!」=でもすぐには走りださない抜本的な大改革-長期的な展望に立って
(2)今日の授業を変える-できるところからのひと工夫
『英語教育』「日々の授業にひと工夫」連載のきっかけ
(3)生徒の視点に立つ
同じ学習内容でも指導法の変化で生徒には別世界の学習
3つの変化 <生徒の動き→学習意欲→英語力>

2.授業内容以前のひと工夫
(1)ペアワークは隣の席の生徒と?⇒お見合いパーティーメソッド
(2)グループ活動は判別に?発表はいつも班長?⇒トランプ大活躍
(3)授業前に席に着かせたい=生徒を英語に向かせたい、集中させたい
小テスト/英語の歌

3.こんなひと言、言っていませんか?
(1)「○ページから○ページまで読んできなさい」
(2)「わかるまで繰り返し聞いてきなさい」
(3)「好きなテーマで、50語程度の英文を書いてきなさい」
(4)「1分間スピーチができるように用意してきなさい」
(5)「毎日単語を30個ずつ覚えなさい」
(6)しっかり予習をしてきなさい」⇒やってよかったと思わせているか?(7)「しっかり復習をしなさい」⇒次の授業では?

4.ワークショップ-授業での活動「先生方ならどうしますか?」
(1)生徒の発話に誤り。発話した努力を認めたいし、フィードバックもしたい
*I go to Yokohama yesterday and buy a nice T-shirt.
(2)リスリング(内容理解)/ディクテーション
*ただの答え合わせで終わらせたくない *英語の歌で体験してみましょう(3)音読発表-順番に読ませてもほんの数人で終わってしまう全員の生徒に発表させたい
(4)音読発表-今日は時間が取れない。でも生徒は練習しているしやりたい
⇒短時間でたくさんの生徒に読ませたい
(5)音読練習の時間を与えても生徒が集中しない
⇒しっかり練習してもらいたい
(6)ペアで音読させても、聞き手が聞いているかわからない
⇒聞き手が聞く状況を作りたい
(7) 音読させても生徒の声が出ない
⇒大きな声で読ませるためには
(8)生徒に教科書題材に目を向けさせたい
 そのための導入は? *高校の教科書本文を使って考えてみましょう
(9)文法 訳読はゆずれない
⇒でも生徒に主体的に取り組ませたい
(10)日本語で終わらせない
⇒何とか英語にもどしたい      (以下 略)

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