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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2009.11.12)

少人数学級実現に向け 教育23団体が全国集会
                         大 釜 茂 璋
 昔から"教育は国家百年の計"と言われる。政権が替わった、文科相に新しい人が就任したからといって、その都度教育の理念まで変えてしまうということがあってはならない。

 将来の日本を担う子どもたちを、教え導くに当たって大人はどうあるべきかという確たる信念が、何か事ある度に変動していたのでは、教える方は言うに及ばず、教えられる側にとってもきわめて不安定な位置付けの上に存在することになる。

 ここ数年、小・中・高校生をはじめ大学生に到るまで、わが国の教育の課題は学力向上に集約される。必ずしも学力向上だけが教育ではないことは分かりきったことではあるが、学力をつけるということが、生涯にわたる教育・学習の基盤であるからには、少なくとも小・中・高校において、この世代への確かな学力をつける環境を整えることが、大人は当然、国家・社会に課せられた厳しい義務であることは間違いない。

 「教育新聞」などによると、11月4日、東京・千代田区の清陵会館で、子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会主催による、教職員定数改善と少人数学級実現を求める全国集会が開催された。

 この団体の構成メンバーは(社)日本PTA全国競技会、(社)日本教育会、全国市町村教育委員会連合会、全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長会、日本教職員組合、全日本教職員連盟など23団体で構成されている。

 集会には川端達夫文部科学大臣、各与野党の衆参両院の議員も出席したが、来年度予算編成においては、教職員定数の大幅な改善などの人的・財政的措置を求める要請文が決議された。

 集会では同連絡会を代表して、相川敬(社)日本PTA全国競技会会長が「教育は将来を担う子どもたちの豊かな心をはぐくみながら、生きる力を身につけるもの。それには当然、手間や時間、費用がかかる。日本の将来の教育の姿を模索し、定数改善や少人数学級の実現を目指していう」などと挨拶をした。

 川端文相は「高校の無償化は来年度からの実施に向けて概算要求に含め、制度設計をしていく。教員の質の向上と数の増大をマニフェストに盛り込んだ。OECD並みの、教員一人当たりの児童生徒数16.2人の実現を目指していく。財政を確保し、教員が安心して教育に専念できるようにした。教育予算の充実や教員定数改善などについては、保護者や教育関係の方々の思いを受けて取り組んでいきたい」などと語った。

 またこの集会では、「教職員の定数改善及び少人数学級の実現を求める要請文」を決議した。要請文の内容は次ぎの通り。

◇教員が子ども一人ひとりに向き合う時間を拡充し、新学習指導要領を円滑に実施するため、平成22年度予算において、教職員定数の大幅な改善など人的措置・財政措置を行うこと

◇多くの保護者の願いである少人数学級を実現するため、新たな教職員定数改善計画の策定に直ちに着手すること

◇意欲と情熱を持って教育に取り組む優れた教員を確保するため、人材確保法を堅持し、勤務実態を踏まえた教員の処遇に努めること

◇教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、その根幹となる義務教育費国庫負担制度を堅持・拡充すること
(おおかま しげあき NPO法人教育情報プロジェクト代表)

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