もっと身近に誰にでも!

フォーラムレポート

一覧へ戻る

平成25年度7月期e-prosフォーラム 英語指導法研修会開催

大釜 茂璋

 7月28日(日)午前10時から午後4時まで、e-pros主催、エデュケーショナル ネットワーク、イー・スタッフ、その他の協賛による、中学、高校の英語科教師を主たる対象にした「英語指導法研修会」が、上野の岩倉高等学校視聴覚室を会場に借用して開催されました。今回のテーマは、「これからの英語教育の在り方を考えながら・・・」を大テーマに置いて、中学、高校の両課程に亘る英語教育を実践的に検証し、その指導法についてワークショップ方式で研修しました。

  講師は千代田区立九段中等教育学校の田口徹英語科主任と最近ライティングの指導法で脚光を浴びている埼玉県宮代町立前原中学校の奥住桂先生のお二人でした。田口先生は東京都教育委員会が行っている若手教師対象の師範塾の指導講師も務める東京都の英語教育のエースで、この日の講座題は「英語で授業、やってますか」。ご承知のように小学校から始まった学習指導要領改訂による教育が、今年はいよいよ最終の年となって高校に導入されました。高校の英語教育で特に目立つ指導法は「英語の授業は英語で行う」というところです。これについてはいろいろな声があがっていますが、英語の授業だから英語で行うのが当然という声が正統で、しからばどう指導をするかという疑問や戸惑いも多く聞かれます。

 そういう背景があって、英語で授業をやっているかと呼びかけたものですが、田口先生の学年は、田口先生がこの学校に赴任した年に中学1年に入り、以来4年目の今年は高校1年生。まさに英語で英語を教える年代になりました。九段中等教育学校は中学1年生から日本語を使わずほぼ英語で授業をしてきているだけに、高校での授業がどういう形で行われ、どういう成果となって表れるかは広く教育界の注目するところでした。

 そこを田口先生は中1からの授業の経緯をDVDに記録し、その映像を見せながらのワークショップですから、指導法が直接形となって飛び込んできてとてもわかりいいし、参考になると大好評でした。田口先生は定期的に寄席に通って話術を身につけ、その話術をフルに生かした教室は活気があり、生徒たちも自分から進んで行動をとるという理想的な授業が展開されるものですからレクチャーを聴く先生方も目が覚める思いだったようです。

 この日、研修が終わってから提出して貰った「参加者の声」を1~2ご紹介します。
〇田口先生の、指導することに対する強い信念と生徒への愛情がひしひしと感じられるお話だった。具体的に書かれた指導案や授業の映像を示してくださり、2学期からの自分の授業を考える上でも大いに役立った。(高等学校教師)

〇正直、コミュニカティブな授業をして、生徒が入試に対応できるのか、という疑問は常に持っていました。田口先生のようなコミュニカティブにすると良いのだと分かりました。自分の授業では、まだまだメリハリのあるオールイングリッシュの授業の授業はできないので、授業光景のDVDは大変参考になりました。(中学校教師)

〇生徒がやる気を出すような授業の実践をしていてとても素晴らしかった。Only Englishの効果的な指導法や共通指導案を用いての授業など、学校全体で生徒の学力を高める工夫や改善をしているところに感心しました。(大学院生)

〇田口先生の講座では、私自身の授業の意識がまだまだ甘かったことを痛感しました。同時に英語で授業を組み立てていくことの大切さがわかり、2学期からもう一度やり直したいと思います。(中学校教師)

 午後からの講座は、埼玉県宮代町立前原中学校の奥住桂先生による「中学1年生から出来るライティング指導」でした。英語指導で苦手とするのは、いわゆる発信型の英語に関る分野で、それには「書くこと」と「話すこと」があげられます。e-prosフォーラムでもこれまではライティングだけに絞ったワークショップを取り入れたことはありませんでした。それがライティングの指導を得意とする奥住先生の情報が入ってきたので、早速今年の3月期のフォーラムでお願いし、もっとじっくり聴講するワークショップを企画して欲しいという声を受け入れて、今回150分の講座を持ったものです。

 ライティングの指導法は苦手とする先生は多く、それに並行してライティングが不得意とする生徒が多数存在するのです。それを奥住先生は理論的にもしっかりした様々なアイディアを組み込みながら、ポケモンを使ったり、いろいろなキャラクターを創造したり、従来にないライティングの指導法を編み出し、それによって生徒たちは喜んで書くこと、自分の気持ち(意志)を表現する方法を身につけていったのです。

 奥住先生の講座を聴いて提出して貰った感想は、ほんの一部ですが次の通りです。

〇奥住先生からは、目からウロコが落ちるようなライティング指導法を学ぶことができて勉強になりました。2学期からは直ぐに実践したいと思います。もう一度奥住先生のライティング講座を聴きたいと思います。ぜひ企画してください。(中学校教師)

〇文字を通して書く楽しさを実感することができる活動でした。教科書の内容を書くスピード(カキトリン)や、語順を意識した活動は力がつくと実感しました。(高校教師)

〇生徒(中学生)に自由作文を書かせることなど到底無理だと決め込んで、授業では自由作文を扱ったことはありませんでした。でもポケモンを使った活動のように、短い文でもいいから書き続けていくと、書くことに慣れることが出来るとわかりました。(中学校教師)

〇奥住先生のライティング指導もよく工夫されていて、自由作文の本来の在り方(目的)を知ることが出来て良かったと思いました。これまで中学生に対するライティング指導はとても難しいと思っていたので、大変勉強になりました。(中学校教師)

〇奥住先生の講座は、どうしてもつまらなくなりそうなライティング指導が、考え方、やり方次第で楽しくなることを体験できました。私は2年生では日記を書かせていますが、楽しくなる工夫を取り入れていきたいと思います。(中学校教師)

〇Workshop方式で、具体的でとても分かり易く大変勉強になりました。奥住先生のブログをいつも拝見していますので、今日は実際にお会い出来て嬉しく思いました。(高校教師)

 e-prosの研修は実践的で、これならば自分も真似してみようといった内容が売りになっています。それだけに参加した先生方は、いわゆる教育委員会などが職権で開催する研修会とは違った親しみを持たれています。

 8月期は8月20日の開催になりますが、講師に元東京学芸大教授の金谷憲先生、筑波大学付属中学校の久保野りえ先生(パーマー賞受賞者)をお迎えして、e-pros通算90回目のフォーラムとなります。

一覧へ戻る


top