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英語教育東京フォーラム

英語検定試験の意義
                                            大 釜 茂 璋(NPO法人教育情報プロジェクト代表)
 秋も深くなってまいりました。日本海側は初雪にしては珍しいほどの大雪に見舞われて、昨日まで嘆いていた地球の温暖化現象も一気に吹き飛んだ感じです。寒さの到来で、東京の街路樹も急激に色づきました。
 今朝市ヶ谷の外堀通りを通ると、堀の水鳥も寒そうに動かず縮んで見えました。一昨日の東京女子マラソンで、四ツ谷まで続くこの心臓破りの坂道を、弾むように駆け抜けて行った野口みずき選手の颯爽とした姿を思い浮かべながら、寒さの中を出勤しました。
 日曜日に英検の二次試験がありました。英検でふと思い出しましたが、英検の価値をただ合否だけでしか見ない人がいるのは考え物です。英検は英語学習の動機づけとしてその意義があり、より上位級を目指して勉強することで学習意欲の維持向上に大きな役目を発揮します。一つの目標に向けて努力することで、モチベーションを高め迷いのない行動が取れるというものです。
 英検は5級から1級まで、準2級、準1級を入れて7つのグレードがあるのはご存知の通りです。英語入門期の5級から4級は、まさに英語学習の導入部門ともいえるグレードですが、ですが、その程度を「基本的な英語を理解し、特に口頭で表現できる」に置く3級は、これから本格的に英語学習に入っていく登竜門。3級からは二次試験としてスピーキングテストが入り、話す能力も問われることになります。
 国際交流が益々頻繁になり、英語学習が年齢や学年に関わりなく生涯学習の一つとして大きく位置付けれるようになって、英検3級の位置付けはこれまで以上に見直され、重要になってきました。英検合格者の意識調査にもそれははっきり表れています。
 手元に一つのデータがあります。それは英検の各級に合格した人を対象にした「最終の合格目標」を調査したものです。例えば3級に合格した人は、最終的にはどのレベルの級の取得を目指すかという調査です。
 それによりますと、英検3級合格者の目指す級は、2級とする人が最も多く47パーセントを占めています。そして驚いたことには最高級の1級までという人が30パーセントもいたということです。なんと2級と1級で80パーセント近くにまで達し、これに準1級までとする5パーセントを加えると、英検3級合格者の80パーセント以上はより上の級を目指して英語を勉強するという意志を表明しているのです。
 人間は目標があればその目標を目指して励むものです。英検は目標を自ら設定してそれに向けて努力するという、人間本来の持つ崇高な行為を助長しているといっても過言ではありません。まして合否とは別に通知する、個人別分野別の受験結果はその後の学習の指針として活きてきます。英検が単なる合否にのみ捉われない英語学習の応援団と受け止められるとき、英検の存在意義は一層高まってくるでしょう。
(おおかま しげあき 元英検専務理事)

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