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フォーラムレポート

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小学校英語指導法研修会を開催

課題=英語好きの子を育てる外国語活動
講師=小泉清裕先生(昭和女子大附属昭和小学校長・NHK/Eテレ「プレキソ英語」監修者)
    川村光一先生(埼玉県杉戸町立杉戸第三小学校教頭・自主勉強会「橋架村塾」主宰者)

小学校の外国語活動が必須となり、小学校の先生もその指導計画や指導法、教材づくりや教材の選択などに苦労しながらも真剣に取り組んでいます。

小学校で外国語活動を扱うことは長期にわたり、いろいろな意見が交わされました。しかしあらゆる点において、社会のグローバル化が急速に進み、中教審の答申でも「異なる文化の共存や持続可能な発展に向けて、国際協力が求められるとともに人材育成面での国際競争も加速している」、「小学生の持つ柔軟な適応力を生かして、言葉への自覚を促し、幅広い言語に関する能力や国際感覚の基礎を培うために」昨年4月からスタートを切ったものでした。

学習指導要領では、外国語活動の指導計画の作成や実際の授業の実施については、学級担任や外国語活動を担当する教師が行い、授業そのものは「ネィティブ・スピーカーの活用に努めるとともに、地域の実態に応じて、外国語に堪能な地域の人々の協力を得るなど」とされています。しかもその内容は、中学校段階の文法等を組み入れた英語指導を前倒しにするものではなく、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成が求められています。

e-pros9月期英語指導法研修会は、9月15日(土)午後1時から4時30分まで、東京・上野の岩倉高等学校視聴覚室で、小学校英語指導法研修会として開催しました。講師は長い間小学校の英語指導法に関わってきた昭和女子大学附属昭和小学校の小泉清裕校長先生。小泉先生はNHK・Eテレで放送中の、小学生のための英語番組「プレキソ英語」の監修も担当しています。

そして今回は午後4時から30分間、特別研修としてe-pros研修会講師としてお馴染みの川村光一先生が、小学生を対象にした英語を楽しむアクティビティーをご披露してくださいました。川村先生は中学校の英語教師としての経験が豊富で、コミュニケーション力育成のための教材「弾丸インプット」の開発者としても知られます。今年4月から埼玉県杉戸町立杉戸第三小学校の教頭先生に転任され、小学校の英語指導法の研究にも熱心に取り組んでいます。英語教師や大学生による英語指導法の自主勉強会「橋架村塾」を主宰し塾長。

この日の参加者は私立小学校の先生が多く、期待された公立小学校からの参加はごく少数した。その原因としては、小学校には教科として英語を専攻した先生が少ないことから、このような公開の研修会で英語指導法の勉強となると参加しづらく、たじろぐ人も多く、どうしても参加の足が鈍ったようです。

たしかに小学校には英語の苦手な先生もいるわけで、それは決して不自然ではなく、そういうことから研修会に参加することを躊躇してしまう現状が存在することも文部科学省もしっかり認識し、早急にそのための対策を考慮する必要があると思いました。

しかしそういった中にありながらも研修会は和気あいあいと進められ、小泉先生の陽気で明るい雰囲気が参加した先生方の気分を大いに和らげて、活力ある外国語活動を展開するコツをいろいろ身につけることができました。大いに参考になり喜ばれました。(NPO法人教育情報プロジェクト代表 大釜茂璋)

■ 参加者へのアンケートから
<質問1>本日の研修会のついての感想など
○ 実践的で、高学年でも興味を持つ活動を紹介いただいて大変良かった。授業に役立てて行きたいと思います。
○ 授業で実際に使えるようなアクティビティーを知ることができて本当に良かった。ありがとうございました。
○ 小泉先生の熱弁に魅せられました。知識と実践に裏付けられた素晴らしいお話でした。学校で生かしていきたいと思います。
○ 今日は有難うございました。私の学校ではtopic syllabusでカリキュラムができているので参考になりました。まだ教材作りに困っているところなので、工夫した教材をもっと考えていきたいと思っています。
○ シラバス作成のお話がとてもためになりました。同じ色でも、1~6年生で内容のレベルを変えることで指導できるとは、新しい気付きでした。また子ども達に文の返答を期待せず、まずは語からという発想も新鮮でした。
○ 小学校、中学校、高校ともに、その教師力(指導力)として、フォニックスが軽視されていることが気になります。今日の研修会はとても参考になりました。また同様の小学校の教師対象のレクチャーがありましたら参加させていただきたいと思います。
○ 昨年度、小学校英語指導者資格取得を目指して英語学校で勉強をしていましたが、そのときのことを思い出す内容で懐かしく思いました。小学校の英語活動の実情や指導法について、また、教師として必要な考え方などが楽しく、勉強になりました。またこのテーマのときは参加したいと考えています。
○ 小泉先生の実践を交えた指導はとても充実していました。あまり力まずに教えていきたいと思える内容でした。あっという間の3時間でした。
○ 小泉先生のお話が大変面白かったです。続きのお話しも気になります。第二弾があるようでしたら、またぜひお知らせください。
○ 小学生レベルで言えるようになるのは、語または句レベルだということを伺い「その通り」だと思いました。無理して文を言わせる必要はないと思います。Making Ten Gamesは非常に面白いので、中学生にやらせてもいいと思いました。

<質問2>小学校の課程に外国語活動が入って「良かったこと」「困ったこと」

○ 子どもたちの発音が綺麗になったこと。リスニング力がついたこと
○ 良かったことが多いと思います。英語の音や表現に沢山触れて、ある程度英語に慣れた状態が作られていることは、中学校の英語教師にとってもありがたいことである。従ってこれからは、(この状況を受けて)中学校の指導法が変わっていく必要があると思う
○ 小学校の英語活動を体験した子が、中学校の教科としての英語に入っていけるかちょっと不安が残る。言葉や異文化への興味につながってくれれば、良い活動として評価はできる。
○ 私が勤務している学校は、創立当初から1~6年生に英語を指導している。英語派教科の性質上、他教科と違ったオープンなところがあり、子どもたちは、英語は全身を使って楽しむものという捉え方をしている。
○ 早いうちから文法に捉われることなく英語に触れることができて、大変良いと思う。みんなの前で話すことが恥ずかしいなどと思うことなく、自分の発言をしている。
○ 児童が英語に興味をもって中学に進学している。
○ 本校は
○ 1年生から英語を導入しているため、外国語や外国人にたいする抵抗感が少なく、そのままで中学校での学習もできている。しかし中学校とのギャップ、単語を覚えたり文法を暗記する時点で嫌悪感が発生して変わってくる。
● NTの先生と授業に関する話し合いの時間を取ることができない
● 学校現場が忙しく、教材研究などの時間がとれない。そのため学校全体を通して、外国語指導に消極的なところがある。

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