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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2009.5.15)

充実のe-pros4月期フォーラム(2)
                  大 釜 茂 璋


 4月29日(昭和の日)に開催されたe-pros主催の4月期英語指導法フォーラムで発表された、東京・港区立赤坂中学校北原延晃先生の講座は1年間の実践を通じて、生徒たちの成長の過程を映像で示しながらのもので、大変分かり易くかつ刺激的だったと好評でした。

 『e-pros通信』4月13日号では、4月期フォーラムの雰囲気や内容の概括、北原先生の講座の紹介や、それに対する生徒の反応などをお知らせしました。今日の通信では、一年間にわたって北原先生の授業を受けた生徒たちがどう頑張って学習したか、またその成功例などを、アンケートによる生徒の声を通してお伝えします。

 一番いい勉強方法は、やっぱり教科書を音読したり、ライティングノートを書いたりすることだと思います。ライティングノートを特にがんばりました。書くと単語のスペルも覚えられるし、教科書の文章も覚えられるのでとても良いと思いました。縦横ドリルがすごくよかった。
期末テストのときは積極的に勉強しました。できるだけ空いているところをなくして、字や記号を書き入れました。
 ライティングノートにたくさん書いたこと。教科書ワークや教科書などを読み勉強した。
 持っていると役に立つよと兄に言われて、受けようかなと考えていた英検を忠一で初めて受け、4級に合格した。これを自信に、2年になったら3級を受けようと思った。
 英検をがんばりました。英検用のテキストを買って勉強すると会話が覚えられるし、単語の知識も増えて便利です。
 教科書の文を暗記するのを頑張りました。登場人物紹介を暗記するのも頑張りました。
 電話のスキットとOliviaの練習を頑張ったのと、ライティングノートに500文以上書いて覚えることを頑張った。成功した勉強例は、教科書をいっぱい読むのと書くこと。ひたすら音読とその中の単語をライティングノートなどに書く。(おぼえるまで)教科書の本文を、☆×10を目指して音読し、見ないで5回言えるかをやった後ノートにその文を書いて、間違いを探してまた5回ずつノートに書く。
 ロン先生のリスニング(テスト)の時、キーワードを聞き取れるように頑張りました。
 Oliviaの劇で、発音やカンマで上げ調子にしなければならないところを注意して、それができたので良かった。文章を何回も書いて、読んで覚える勉強法のお蔭で、テストはバッチリでした。
 ライティングノートを少しずつやっていたら、休み中の宿題がラクになった。ライティングノートをやっていると楽しい。
 ライティングノートを忘れずに500文、600文とやっていって、少しずつだけどがんばれた。
 友だちと教科書を見ないで対話をすると、間違った読み方などを友だちに注意してもらえるのですごく覚えやすかった。
 英語の勉強はとにかくライティングと音読に限ります。教科書と人物のインフォーメーションを覚えると、テストの点はもらえると思いました。英語は勉強した時間だけ点数&成績アップにつながるので、これからも続けたいと思います。
 教科書を読み直す。ライティングノートは音読しながら書く。ライティングに慣れておく。「英パー」(注 ワーク)をやり直すなどで分からない単語はないかを見直す。
 毎日15分でも教科書を読むと教科書の内容が頭に入ってくる。テストでましな点数が取れてよかった。
 1番はライティングノートだと思います。文をたくさん書くだけでなく、工夫して書いておくと後で見直すときにとても便利。あとは教科書を読むこと。文が頭にしみこむぐらい読んでおくと、北原先生のテストはとても解きやすかった。
 ライティングノートは、授業などで配られたプリントを見ながら書いた。
「英パー」をこまめにやって不規則動詞を頑張って覚えたのと、ライティングノートを書くだけじゃなくて頭に叩き込んで覚えること。
 星読みは、すればするほどどんどん上手くなっているのを実感できました。だからずるをせずに10回星読みを続けていきたい。

 このような素直な生徒の感想を読んでいると、北原先生の授業への取り組みと、授業を受けた後自宅学習をして、確実なマスターへつなぐ生徒の様子が目に見えるようです。映像を使った北原先生の講座からは、活き活きとした生徒の学習態度が覗われ、ユーモアを交えながら惜しげもなく披瀝する北原先生の授業技術が大変参考になりました。

e-pros4月期フォーラム講座
   
1.「発音指導と辞書指導の結実 ― 赤坂中1年生を追って」
     北原 延晃先生(東京都港区立赤坂中学校教諭)
2.「小さな国際交流 ― この春、韓国を訪ねて」
     長 勝彦先生(武蔵野大学文学部 英語・英米文学科客員教授)
     長 敦子先生(書道家)
3.「新指導要領と文法指導 ― 中高のギャップを埋めるために」

 昨年4月のe-prosフォーラムで長勝彦先生が話された「教科書に出てくる海外の地を一度は訪問してみよう」と、若い頃の自ら立てた誓いには、多くの参加者に感動を与えてくださいました。フォーラム終了後、ぜひ自分も実行してみたいとメールを寄せてくださる若い教師が何名もいました。

 そういう長先生でも、忙しく教職に就いていた頃はなかなか思うように海外旅行もできなかったようですが、中学校教師を離れてからは積極的に海外に赴いては青年教師時代の誓いを実行に移しています。

 それは長先生の奥様(長敦子先生)が金文や甲骨文を書く書道家であることから、奥様の作品を海外で紹介しようという、新たな目的が加わったことが拍車をかけているからです。

 もともと奥様も中学校で英語を教えていましたから、海外の地には親しみがあったでしょうし、イギリスの桂冠詩人であるワーズワスの詩に格別の想いがあったとのこと。大学では主に英詩を勉強し、卒論はワーズワスの「ザ プレリュード」に取り組んでいます。とは言っても、長先生の抱く長い間の夢実現に、一緒に取り組もうとした熱い思いがあったことは間違いありません。

 金文とは古代中国の青銅器に鋳造された文字のことですが、青銅器の銘文をいうもののようです。この世界にはまことに疎い私にとっても、文字の美しさと、ご自分で漉いたという用紙の魅惑は、例えようのない作品となって見る人に迫ってきます。これはまさに東洋の文化として特に西欧の人々に誇るべきものです。

 長敦子先生は作品の展示に際して、「冷たい青銅の膚ではなく、暖かい紙の、美しい色彩の中に金文を遊ばせ、日本語のルーツであるこの素晴らしい文字を、世界中の人に知ってもらいたい ― これが私の夢であり、願いです」と語っています。

最初の展示会は1991年7月、ワーズワスの生まれ故郷、イギリスのグラスミアにあるワーズワス美術館で開催しました。海外個展のタイトルは「英詩のふるさとを訪ねて」ですから、その地に関わりのある詩人の作品や詩から取った文字を、古代文字である金文で美しく表現しているものです。

 以後毎年一回、世界各国で展示会を開催して漢字文化の紹介、普及に努めてきました。これまで開催した国は年代順に、イングランド・オーストラリア、ニュージーランド・アメリカ・カナダ・イタリア・フランス・オーストリア・北欧(スエーデン&フィンランド)・アラブ首長国ドバイ・アルゼンチン・チェコ・スペイン・ベルギーと続きますが、今年第15回として3月23日~27日に韓国で開催し好評を博しました。

 e-prosフォーラムでは、開催に際しての数々のエピソードや地元の人々との交歓風景などをユーモアたっぷりに、長先生からお話し頂きました。また今年は奥様からも金文や甲骨文の話、たまたま中国に書の勉強で留学したときに遭遇した天安門事件の緊張感などのお話しを頂きました。実際に作品を展示しての講演は、「小さな国際交流」というにはスケールが大きく、このような民間人による文化の紹介はまさに英語指導者としての長先生長年の夢を実現し、フォーラムに参加した若い英語教師たちに刺激を与え、ご夫妻による無言の教えとなって大きな感動を呼びました。

 なお各国での展示の様子、主な作品などは、次ぎのアドレスでもご覧になれます。http://hamajima.co.jp/osa/

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