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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2008.07.01)

<新刊紹介>
Rob Bernes著 畠山雄二/秋田カオリ訳
「大学生のための成功する勉強法」

 7月期のe-prosフォーラムで講師を務めてくださいます畠山雄二先生はこの度、畠山先生が勤務する東京農工大学の女性キャリア支援・開発センター特任准教授秋田カオリ先生と共訳で、「大学生のための 成功する勉強法」を丸善から刊行しました。発売に先立ち1部ご恵送いただきました。

 書籍名は「大学生のための~」と銘打っていますが、1~2ページ読み進むだけで、これは大学生だけが読む本ではないことがすぐわかりました。要は高校生だろうが学校の教師、あるいは企業人だろうが、今何かを学び、何かを伝えて行こうという人ならば、誰が読んでも面白く、かつすばらしく参考になる内容が一杯でした。近頃珍しく謙虚で、親切な本ではあります。

 宣伝では「学生が大学で学ぶための具体的なノウハウを盛り込んだ」本とありますが、どうしたら「向学心」を常に高めた状態で勉学に励むことができるかとこれを補足しているところは、向学の心は必ずしも大学生だけに特化したものではないだけに、より多くの人に読んでもらいたい、読めば得する本ということになります。

 "訳者まえがき"のなかで、「本書を読めば、特に、日本の大学教育において、いったい何が欠けていて、そして教育ならびに研究とはいったい何をどうすることなのか、その真髄を知ることができるであろう。

 大学や(中学・高校)で教鞭を執っている教師だけでなく、大学で勉強ならび研究をしている学生さんにも是非手にとって読んでもらいたい。そんな本である。」
「もっと言うと、教育学部で勉強している「先生の卵」や研究職を目指している「研究者の卵」の人たちには、是非、手にとってもらいたい」とあります。

 とにかく読んでいて堅苦しさがないのです。この種の書籍独特の押し付けがましさが感じないのです。第1章「勉強がうまくいくためには、どうしたらいいのだろうか」を読むと、こんな文章に出くわしました。

 「勉強するのを後回しにすることほどマズイことはない。勉強するのを先延ばししないためにやれることはたくさんある。自宅で仕事をしているプロの人たちでも、いかに時間をむだにすることが簡単であるかを知っている。

 例えば、洗濯機に洗濯物を放り込んだりするとか、周りの片づけをしたりとか、仕事部屋を整頓したりといったことにより、時間は簡単にむだにすることができる。
『まだ始めることできないんだよな・・』と自分に対して言っているようでは、まだまだあなたは仕事が始められない理由を自ら探し求めているのである。

 土壇場になってからする勉強というのは、普通、失敗したらどうしようかという恐怖心からするものである。でも、そんな恐怖心からではなく、もっといい理由で勉強をやり始めることができる。私には、うまく勉強が始められるためのちょっとしたチェックリストがあるのだが、それを下に紹介しよう」

 といった調子で、軽快で歯切れの良い文長はぐいぐいと本の中に引き擦り込んでしまう。目からウロコとはこのことか。読んでみると、なるほど、自分も同じ状況にあったのだと気付く。そして何だかやれそうな気にさせてくれるのだ。その気になっても、やるかやらないかは自分次第ではあるが、意識がかわることだけは事実である。この夏お勧めの一冊である。(丸善株式会社刊 2500円)

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