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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2008.10.10)

忘れる前に覚えること 
       大釜 茂璋(NPO法人 教育情報プロジェクト代表)

旺文社を創立した赤尾好夫さんは、受験生の気持ちを思い親身になって激励をする方でした。『蛍雪時代』の巻頭言や、『豆単』の栞などでは、"人間は忘れる動物である。忘れる以上に覚えることである"と檄をして、挫折しそうな受験生を励ましては、継続して学ぶことの大切さを説いた人でした。

人は何かを覚えても時間の経過とともに忘れてしまうものですが、これは自然の摂理というもの。だからこそ繰り返し学習をすることで、その知識をしっかり身につける努力が必要だということです。英語学習もこの分野に属し、忘れないための学習法は他の科目以上に要求されているのです。

ところで人の記憶に関しては、忘れにくくする方法が「繰り返し学習」であり、これを応用したのが「弾丸インプット」だと、この指導法を考案した川村光一先生の主張です。

「弾丸インプット」は、50分授業の中の10分間を使い、その10分間に4度の活動を行います。これを4回の授業にわたって繰り返すと、4×4=16回となるのです。この繰り返しこそが「弾丸インプット」のミソです。

しかもその方法はタイムレースを模してゲーム的。現代のゲーム世代の生徒には受け入れられ易いというのです。だから毎授業時間で繰り返しても、生徒は飽きることはありません。弾丸インプットのシートにある単語や表現は、徳治忘れにくい記憶に変わると川村先生は自信まんまんです。

◆弾丸インプット活用法  参考 : 「NEW弾丸インプット」

1.何のために行うのか
(1)思ったことが自然と口から出てくりために(話す力)
(2)会話の流れやディスカッションの流れが身につくために(談話能力)(3)早い英語に慣れ、聞く力をアップさせるために(聞く力)

2.授業の中での位置づけ
Aパターン 1)あいさつ 2)歌 3)弾丸インプット 
      4)ターゲットを含む言語活動 5)教科書を扱う 
      6)まとめ
Bパターン 1)あいさつ 2)歌 
      3)弾丸インプット、またはスーパー弾丸インプット      4)イングリッシュサロン(アウトプット活動) 
      5)教科書  6)まとめ

3.授業の展開
 R…制限時間内で、プリントに記述された英文をなるべく早く読む RN…早く読むのではなく、英語らしく、豊かに読めるかどうかテストする S…日本語を聞いてすばやく英語にする

 基本的に授業時間は約10分から15分間。R→RN→R→RNと繰り返します。これで1回分の授業は終わりです。

 次の時間はRN→S→RN→Sと繰り返します。これで2時間が過ぎます。
 (10分×4=40分)

 毎回の授業の10分をこの弾丸インプットに当て、帯のように時間を設定します。(すると8回分の繰り返しの効果で自然に覚えていきます)

4.弾丸インプット活用時の留意事項
 ・弾丸インプットのプリントの評価記録をつける
 ・弾丸インプットの評価ABCDの数を自己評価カードなどの記録に残す ・目的が明確なときに使う
 (例:現在完了をマスターする ディスカッションをする)
 ・弾丸インプットは自分の生徒に合った内容にすること
 ・1時間目は個人の練習を3分から5分取り、そこで個別指導をする
 ・8時間を帯で続けたら、しばらくお休みをする
 ・会話  弾丸インプットのプリントを見ずにできるペア学習を行う
 ・アウトプットのための活動であることを覚えておく
 ・生徒の会話文が済んだあと、その内容を書かせる
 ・弾丸インプットのプリントを常に多めに持っていると、忘れた人がいるときに役立つ

○スーパー弾丸インプット⇒ 生徒が疑問文をスムーズに使えるようにするための言語活動。弾丸インプットと同じようにドリルに近い。弾丸インプットの目的が、定型の表現や話しの流れをマスターするのに対し、スーパー弾丸インプットは、キーワードをもとに場面や内容に合わせて疑問文を作れるようになることが目的である。

○イングリッシュサロン⇒ 4人1組で行うアウトプット活動。従来のアウトプット活動に比べ、自由度が高い活動である。これまでのペアでやる活動ではなかなか会話が続かなかったが、この活動では1グループに4人いることから、自分のペースでリラックスして行うことができる。英語を使う楽しさを味わえる活動である。

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