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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2008.11.18)

教科書と教材制作の関連性

       大釜 茂璋(NPO法人 教育情報プロジェクト代表)

 (財)教科書研究センターは、現行の教科書に対する教師・保護者の意識調査の結果を分析し、今度の小・中学校学習指導要領の改定に伴う、新しい教科書編修の参考にすることを目的に、提言をまとめました。

 この調査は無作為に抽出した全国の小・中学校600校余の教務主任などと、各県小・中学校1校ずつの保護者を対象に実施したものです。

 報道によれば8割を越す回収率と、自由記述も2,000を上回るなど、教師・保護者とも教科書についての意識や関心が非常に高いことを物語っています。

 提言された分析結果からは、小・中学校とも、授業で教科書を使用する割合は、社会科以外は大変高く、教材と学習材のバランスが保たれた教科書を望んでいることがわかります。またカラーページは、全ページをカラー化する必要はなく、必要とされる部分でいいとなっています。

 この中で英語については、「もっと生徒が興味を持てる内容のもの」を望む声が高く、凡そ次のような内容が要求されていることがわかりました。
国際的な話題平和・人権・環境問題伝記物や有名な物語を教材とするそして今後の望ましい方向としては、CDをつけることも考慮する必要があるとしています。コミュニケーション育成の面からも大事なことです。

 セミナーや研修会などでの授業研究は、そのまま教材研究につながります。ひと口に国際的な話題といっても、それでは具体的にはどんな話題を教材に仕立て上げるかはなかなか難しいことでしょう。

 平和・人権・環境問題を教材にするといっても、そこにイデオロギーが含まれるとそれは違った教材になってしまいます。生徒が興味を持って取り組んでくれるかも疑問です。平素の授業で使う教材は、指導の目的と、それを受けて生徒の関心 ・ 興味を如何に盛り立てるかも大切な要素です。またテーマだけでは教材にはなりません。

 11月期フォーラムで指導をしてくださる星美学園中・高校の稲葉隆浩先生は、「教材を作る上で忘れてならないのは、1時間の授業を貫く指導のねらい」が大切と言っています。授業を通して「生徒に達成させたいこと」を明確に打ち出し、授業の「どこで」・「何を」仕込むか。それが教師として重要な役割と指摘しています。

 同じく11月期フォーラムで講座をお持ちくださる阿部一英語総合研究所長の阿部一先生は、「『知識』の橋渡しである理屈が苦手な、いわゆる英語が苦手な生徒には、理屈や説明抜きで『知識』を自分のモノにさせ、小刻みな目標の達成感や自信をつけさせることが大事」と話しています。

 これらの内容を伴う教材を作り、どのように利用することで目的とする成果をあげるかは、教室の活性化のためにもきわめて重要なことです。今度のフォーラムはこの二人の先生から、直接教材の作成法を伝授してもらえる楽しく内容の濃い研修会です。

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