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フォーラムレポート

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英語教育東京フォーラム(2009.5.20)

充実のe-pros4月期フォーラム(3)
                  大 釜 茂 璋


 今年の3月、高校の学習指導要領が告示され、これで小学校、中学校、高等学校の指導要領が出揃いました。

 今度のフォーラムで久保野雅史先生は、「新指導要領と文法指導」をテーマに、中学校と高校のギャップを埋めるためにはどこに留意をし、どんな指導法が適切かをいろいろなケースを引用しながらきわめて実践的に指導してくださいました。

 これまでの学習指導要領で特に問題視されていた「ゆとり教育」は、それにたいする批判キャンペーンも多かったことから、今度の改定でもこのへんに留意されたことは間違いありません。小学校に「外国語活動」が新しく入り、中学校の授業時間数は従来の週3時間から4時間になりました。単語数も小学校で300語程度、中学校ではこれまでの900語程度から1,200語程度に増えています。

 そして聞く、話す、読む、書くことなどによるコミュニケーション能力の育成から、これら4技能などによる「実践的」コミュニケーション能力の育成で、実践的な面からの英語をマスターする狙いが一層強化されました。

 これに加えてスピーチしたり、文と文のつながりなどに注意して正しい文章を書くことによる発信力、語と語のつながりなどに注意して正しい文を書いたり、語順や修飾語などにおける日本語の違いに留意が必要など、文法力の強化なども求められることになりました。

 定義の重視もその一つで、例えば第3学年における言語活動では、第2学年までの学習を基礎として(中略)言語活動を行わせること。その際、第1学年及び第2学年における学習内容を、繰り返して指導し定着を図るとともに・・といった、中学校で指導したことが中学校を卒業までにしっかりマスターする指導を行うことが指摘されています。

 また「~のうち基本的なもの」や「理解にとどめる」といった、どちらとも取れるような表現は一掃されて、中学校で教えることは中学校でしっかり理解させマスターすることが望ましくなっています。

 久保野先生の講座では、指導要領改定にあたって参考資料になった「中学校における特定課題に関する調査(英語)」(全国スピーキング・テスト)の結果や、高校の改定のポイントとなった二つの流れ、セルハイとSSH(=Super Science High School)レに触れて、その問題点や今後の課題など、プロとしての教師が見落としてはならないこと、指導にあたって特に留意しなければならない点など詳細に解説してくださいました。

 今回高校の指導要領で特に話題となっている部分は、「授業を実際にコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことを基本とする」という点です。その際、「生徒の理解の程度に応じた英語を用いるよう」十分配慮するものとするという部分も見逃すわけにはいきません。

 この「基本的に英語で授業」について、文科省の太田調査官はインタビューに応じて次ぎの4つに絞って話しているとの紹介がありました。
授業に必要となる英語は大きく分けて4種類ある。
1.「授業をコントロールする」ための英語
2.「手本」としての英語
3.「活動の手助け」をする英語
4.「フィードバック」の英語

 以上の解説を踏まえながら文法指導と中高のギャップについて、いろいろな角度からのケースを引用し、きわめて興味深い指導をしていただきました。これ以上は行数に限りがありますので、指導いただいたタイトルだけをご紹介いたします。
1.現状認識度チェック
2.現在完了進行形の悲劇
3.文法指導#悪玉
4.受動態と情報構造
5.Because/sinceの点と線
6.和訳の信頼性

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